



風が涼しかった。
昼間の暑さが嘘のように、風がさらっていった。
風が切る音と、それが枝を揺らす音しか聞こえない。
ちょっとした違和感を覚えた。
違和感の理由を考えながら、夜の街を進む。
多摩丘陵の丘を登る。
湿度をまとった風でも、心地よく感じる。
湿度をまとった風でも、心地よく感じる。
いつもよりも深い時間に夜の運動をしているからか、自分のほかに人は見あたらない。
自転車の車輪が地面をかむ音が世界に響く。まるで、この世界で自分しかいなくなったかのような錯覚を覚えた。
自転車の車輪が地面をかむ音が世界に響く。まるで、この世界で自分しかいなくなったかのような錯覚を覚えた。
丘を登り、頂上からの眺め。
久しぶりに、霞んでいない夜景。
よみうりランドの方が明るい。
何かロケでもやっているのだろうか?
夜空に輝く星。
あの明るさはおそらく木星だろう。
何もかもが新鮮に思えるくらい、鮮明に見える。
いつもの競技場の公園に来て、自転車を止めたとき、ずっと感じていた違和感の理由が分かった。
蝉の声が聞こえない!
昨日は、蝉の脱皮を観察したというのに、今日は静かで、ある種の寂しさを漂わせていた。
夏の終わりの雰囲気。
夏の終わりの雰囲気。
まるで夏陰だった。