宮部みゆき 楽園 | Happy-Gate

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半径5mのライフログです。

宮部みゆきの新作ミステリー。
産経新聞で連載されていたものをまとめたもの。

傑作《模倣犯》の主要キャラであるフリーライターの前畑滋子を主人公に、
不思議なミステリーを描いている。

模倣犯ともストーリー的つながりがあり、前作の犯人だった人間の裁判の模様についても、
少しだけ描写されている。
作中では、事件から9年経っても、まだ高裁で公判中だそうだ。

~あらすじ~ 
 前作の事件で一躍有名になったフリーライター滋子だったが、心に受けたダメージがひどく、
一時休業し、現在は知り合いの編集プロダクションで働いていた。
 そこへ昔の知り合いの紹介で、ある中年女性が尋ねてくる。
 彼女は死んだ自分の息子が超能力者だったのではないかという、それを確かめてもらいたいという
実に不思議なお願いだった。
 死んだ子供が書き残していたものの中に、過去の事件を思わせる絵があったことから、
調査に乗り出すことに。

 それは、自分の娘を殺して、自宅の地面に16年も埋めていたという事件で、
結局、公訴時効になった事件だった。

 超能力を信じない滋子は、事件の情報が誰かから漏れて、それを死んだ子供が
どこかで見聞きしたのではないかという推理のもと、彼と事件を結ぶ点を探そうとする。

 やがて、事件の被害者の妹と接触することになる。
 彼女から殺された姉に関する調査と16年前の事件の真相を教えてほしいと依頼されてしまう。

 そして、滋子は、再び都会に潜む闇に、足を踏み入れてしまうことになる。


さすがですね。
軽い文体ときっちりとした構成力。

複雑なパズルを解いたときと同じようなすっきりとした読後感。
まったく先読みができない展開でした。

上下巻でしたが、一気に読ませてしまいます。こんなに興奮したのは久々ですね。

オカルトっぽいエピソードと、血なまぐさい殺人事件。現代を象徴するような奇妙な人間関係。
社会病理。見事に客観的に描いていました。

その上で親が子供を思う気持ちについて、しっかりと描かれています。結局、その親の愛が、
悲劇を生んでしまうという、やるせない展開。

また今作も、《火車》《理由》などと同じように、バブルとその時代に翻弄された人間のお話になってます。

出てくる人物が自分と同い年の人間で、何だか身につまされる感じでした。
確かに、自分が中学時代。殺された少女のように、思っていたかもしれない。
結局、バブルには一歩遅れてしまった世代の悲しさを描いた作品なのだけど、よくその特徴を
捉えていた。
さすがだなぁ。

ただ宮部作品は、私にとっては地理が暗い、東京の東部地区を舞台にすることが多くて、
土地をイメージしにくいんだよね。

それが残念だけど、逆に、ああいう下町のほうが、コントラストができてドラマが生まれるんだろうな。

いま30代前半の人は、ぜひ読んでみてください。