麻生幾のポリティカルフィクション。
自衛隊の特殊部隊と内閣情報調査室(内調)の活躍を描いた作品。
相変わらず公務員をかっこよく描きすぎてますね。
この人独特なんでしょうけど、日本語に英語読みのルビをふるのが、ちょっと鼻につきますが、
細かいチャプターで、読みやすかったです。
瀕死のライオンとは、スイスの傭兵部隊で、フランスのルイ王朝を警護していた部隊。
彼らは交戦命令が無かったことから、革命軍に反撃をすることなく、結局、全滅した部隊。
その傭兵隊の偉い人が、彼らの活躍を後世に伝えるべく作った銅像のこと。
その銅像には、傷だらけになったライオンが、フランス王家を象徴する花を守っている姿が映っている。
特殊部隊の兵士たちの心情を表したメタファーなんでしょうね。
ただ府中で起きた一家惨殺と事件の本筋がイマイチつながって無くて、ダレちゃった。
ラストが無理矢理辻褄合わせでさ。
結局、壮大な北朝鮮の特殊部隊の作戦は、日の目を見ることもなかったわけで。
上巻であれだけ紙面を割いて、日本に上陸したのに、大した活躍も出来ず。
もちろん、それを阻止したのは内調と陸自の特殊部隊というわけでね、話の本筋はやっぱ日本サイドなんだけど。
てっきり、この陸自の特殊部隊と北朝鮮の特殊部隊が、戦うのかと思ったんだけどね。
作品の中でも触れられているけど、対テロなんかの軍事行動は、特殊部隊の一側面だけなんだね。
政治が欲する局面を創出するために、存在する部隊なんだね。
たとえば、世論操作をするための映像を録ってきたり、デマを流して、戦線を混乱させたり、ゲリラを組織して、国情を不安定にさせたり。
まるでスパイみたいだったね。
諜報戦と特殊戦の違いは、この作品からじゃよく分からなかったけどね。
単純に軍事的な行動を伴うかどうかなのかな?
だけど、きっとこの作品に出てくる非正規戦って、あるんだろうなぁ。
現実にも、テレビとかでたまに北朝鮮に潜入した映像って流れるけど、あれも内調や陸自の特殊部隊員が活躍しているのかも。
傷つき、腕一本になっても、最後まで任務を遂行して、だけど、誰からも表彰されることもなく、遺体すら回収されずに。
結局最後まで、特殊戦の兵士の気持ちは理解できないままだったのが残念。
上巻の訓練のシーンでは、まるでスーパーマンのように描かれていた特殊部隊員が、下巻の実戦になると作戦の第1段階で、骨折したり、犬に腕や指を食いちぎられたりと、不運が続くところがね。もう少し活躍したあとでも、良かったんじゃないかな?なんて、思います。
こういった特殊部隊ものって、福井晴敏方向で、結構、多くあるんだけど、さすがにノンフィクションライターが書くと、重みが違ってくるよね。
フィクションなんだけど、現実感というか重みがある。
血と汗と硝煙の臭いが漂ってくる作品でした。