ファンに、不評だったドラマ版の白夜行。
それというのも、作品の肝である二人の関係に焦点を当てて、原作では読者の想像にゆだねられた事件の真相を描くというモノだったからだ。
原作を読まずにドラマ版だけをみた人間としては、いつもの東野圭吾のミステリーぐらいにしか思っていなかった。
何とも温いドラマだった。山田孝之も綾瀬はるかも、極悪人に描かれていなかったし、都合が良すぎる描写の連続で、誰に感情移入すればいいんだよって、戸惑ってしまった。
大阪方面が舞台のはずなのに、キャストのセリフが、標準語だったことも、げんなりさせるのに一役買った。
またミステリーとして、手あかにまみれたトリックや、動機らしい動機もないままに犯行を繰り返すばかりで、つまらなかった。
しかし、原作のファンは、小説版を読むべきだと、繰り返していた。
それまでも、東野圭吾の作品は、『天空の蜂』『容疑者χの献身』の二作品しか読んでなかった。
どちらも理屈が優先するいかにも理系な人が書いた作品だった。
『容疑者χ・・・』は直木賞まで取った作品だし、正統派の本格ミステリーだった。しかし、どちらも同じ様な気がした。
白夜行を手に入れた。
分厚い原作を一気に読んでしまった。
これは二人の犯罪者を中心に描かれる犯罪史、文化史、現代史だった。ドラマのような温さもない、一時も油断できない、張りつめた空気感を描いた作品だった。
この小説で描かれる二人に、恋愛なんて生やさしい感情はなく、本当にただ生きていくだけの、つまり共生関係だけのモンスターのように描かれていた。
確かにこの作品は、小説版の方が面白い。
白夜行の原作は、東野作品では、最高傑作だと思う。直木賞受賞作より、こちらの方が楽しめた。