ガンダムSEEDの後番組として始まり、その後大人気となったアニメの劇場版。
最終回からの続編であるので、テレビを知らない人には、かなり取っつきにくい感じでした。というのも、特に登場人物や物語の世界観を説明している台詞やシーンが初見の人には不親切でした。もっとも、この手の作品はファンだけを対象にしているともいえるので、かえって変な説明台詞で物語の流れが中断するよりは、TVシリーズのDVDでも借りて予習なり、後乗りナリすれば問題ないかな?
物語は、TVシリーズから3年後の世界。最終回で、門の向こう側の世界へとばされたエドはドイツでロケット作りをしているアルフォンスと暮らしていた。ある日、ロマの少女と出会ったエドは、トゥーレ協会とナチスの陰謀に巻き込まれてしまう。同じ頃、記憶を失ったままこちらの世界でエドを探していたアルは南方の街で不思議な鎧の兵団に襲われる。彼らは何者で、どこから現れたのか?
物語のテーマはやはり兄弟の絆だ。
死んだ母親を復活させたいがため、禁忌の人体錬成を行うも失敗、代償に兄は片腕と片足を、弟は肉体を失い魂だけの存在になってしまった。
自らの欲望をかなえるために彼らは自ら犯した罪に苦しみ、悩み、互いにキズをいやしながら旅を続けていた。
そんな苦難を乗り越えて、住む世界も記憶もなくした兄弟が、つながりあい、けなげに生きていく様は、TVシリーズを観ていたものにとっては、最高のエピローグという感じか。
シリーズ最終回でも、残されたままの謎が解かれるのか?という部分が、最大の見せ場で、それは期待通りかな?
ちょっとTV最終回から日がたちすぎて、忘れちゃったってのが本当だから、イマイチ燃えなかったんだけど、私はね。昔のエヴァみたいな感じで、どうしてもドラマの終演を観たかったっていうのに、感覚が似てたんだろうけど、ちょっと歳を獲りすぎたのか?
もともとガンダムが残念な結果に終わって、やっぱ時間帯が時間帯だけに、お子様向けの番組が始まるのかと思ってた。スチームパンクな世界観に剣と魔法世界感、原作を連載していたのは、あの悪名高きガンガンだったというのは、この作品の不幸だ。
それでも、制作がBONESという会社で、COWBOY-BEBOPのメンバーを中心にサンライズから独立して作った会社だったので、観てみることにした。元々期待値低めで見始めた作品だったので、そのクオリティの高さに驚いた。とても新人が描いたとは思えない登場人物、世界観、ストーリー。前番組のガンダムの作画のあれ様や、一本調子の演出に、辟易していたので、一気にはまってしまった。
やがて科学技術と人間の命というテーマが、浮き彫りになるに連れ、主人公兄弟のやりきれなさが加速していく。
こういう作品は滅多に出ない。鋭い時代性を持ったテーマだ。
総集編でも良いから、ある程度、作品をまとめた形のものがあると良いんだけどね。
映画としては、点数低いですけど、テレビシリーズの本当の最終回として観ると、良い終わりのような気がする。
以下ネタバレです。
2回目を観て気づいたことを書きます。
主人公エドの台詞で「世界と無関係ではいられない」というのは、なかなか説教じみていて良いですね。アニメなんて観てないで、自分の生きている世界で生きろと、昔、押井守がビューティフルドリーマーでやった手法を踏襲しているみたいで。
エヴァも同じ様な終わらせ方をしたけど、アニメ制作者の最大の敵は、実はアニメファンだという自己矛盾を感じちゃいますね。
父によって、こちらの世界へ来たエドと、エドによってこちらの世界に来たアル。これって、少年の成長を描いていたんだね。
少年期の自分たち子供だけの世界から、今までのルールが通用しない大人の世界『一般社会』への旅立ち。ラストシーンは、それを暗示していたのかな?