アルスラーン戦記という田中芳樹のファンタジー小説がある。
角川文庫の書き下ろしシリーズとして刊行されたのが、20年近く前のことだったか?
15年くらい前に角川アニメとして映画化とOVAにもなっている。
この頃こういうファンタジー小説というのが一時はやった。
ロードス島戦記とかだが、アルスラーン戦記もそのブームに乗っかる形で、世に出てきた作品の一つだった。
ただこの作品は、ジュニア向けの小説ではなく、あくまで一般読者をターゲットにした作品であることを示すため、タイトルは漢字四文字でたとえば『王都炎上』『王子二人』『征馬孤影』というように、格調高くしていた。
のち分かったことだが、当時、出版界の常識として、カタカナタイトルの作品は売れなかったんだそうで、チャプターの一つだった『王都炎上』が想像力をかき立てるという理由で、メインタイトルになり、以下漢字四文字のタイトルが縛りなったそうな。
さて、このシリーズ、9巻目の『旌旗流転』を出版して以降、新作が発表されることはなかった。
この頃、角川書店は、ちょっとした大事件が起こって、社内は大混乱になっていた。
そう、角川春樹氏の逮捕だ。
事件の責任をとり、春樹氏が社長を退任。新社長に弟の歴彦氏が就任した。歴彦氏が最初にしたことは、春樹氏の子飼いたちの粛正だった。
これにより優秀な編集者が角川を離れていき、それに伴って、いくつかのシリーズが終了し、別の出版社からその続編が書かれるような混乱が起こった。
ようやくその混乱が収まり、新しい秩序ができてきたのは、前世紀末だった。
20世紀最後の年、待望のアルスラーン戦記の十巻目が出版された。
『妖雲群行』だ。
最後の出版からたった7年だったけど、すっかりキャラクターが分かんなくなっていた。
しかし、それでもファンにとっては続きが出たことに喜びがあった。
大きくシリーズ再開と帯まで付いての出版だったから、ようやく完結するのかと思ったら、それ以降、再び新作が発表されることはなかった。
気が付くと、十巻目が出てから5年。
びっくりしたカッパノベルスの新刊になって、新刊が発売されたよ。
田中よ、あんたも出版社変えたのね。
そういえば見慣れない表紙のアルスラーン戦記が書店に並んでたけど、こういうことだったとは。
もう角川書店から出ないそうなので、仕方ない、カッパノベルスを買うか。
でも、カッパノベルスは高いんだよね。