第51回江戸川乱歩賞受賞作。
薬丸岳 作。
本当に地に足をつけた社会はミステリイであり、本格エンターテイメント推理小説だった。
おもしろかった。
少年犯罪と贖罪という少し手あかにまみれたテーマを、過不足なく説教臭くならない容量で見せてくれた。
被害者、加害者という相矛盾する主張、立場を、均等な目で、偏らずにかといって、冷めた感じでもなく描かれているので、物語の世界に違和感なく入り込めた。
また物語の構成自体にも、大きな無理もなく、どんでん返しも意外性があって、楽しませてくれた。
ただ、加害者側の描き方が、少しだけステレオタイプだったかな?
正体がばれたら、突然、典型的な悪いキャラになっちゃうとか。
少年犯罪を語るとき、置き去りにされてしまう被害者の叫びみたいなものは、感じることができた。
ただ、少年がこれだけの犯罪を実行するだけの脳みそと資金があるのか、不明だけどね。
もう少しつっこむと、発端となった事件そのものに無理がないか?
少年たちがそこまでせっぱ詰まったとして、事件を貫徹できただろうかという疑問。
いくら少年犯罪であり、まともな捜査がされなかったとしても、マスコミが丁寧にルポするような気がする。
所沢の少年が、北浦和で犯罪を犯すなんて、素人目にも不自然だろう?
まぁ、これが素人探偵である主人公の調査の端緒になるんだから、仕方ないけどね。
それに基本的に江戸川乱歩賞は新人の登竜門的な位置づけもあるし、この作者は、巻頭の言葉からするとどうもデビュー作のようなので、大目に見ないとね。
ぜひぜひ映像でみたいね。
でも13階段のようになるといやだけど。