Jamaica に行くことになり、今までとは違う感じで行こうと決めた。
日本とジャマイカを行き来して、動画やミュージックビデオを作り、キリキリ達に金をばら撒き、とにかく金をかけて派手にやってやろうと思った。
しかし、音楽だけで、それを賄うというのは正直言って厳しかった。
そして俺は、ダンスホールアーティストやヒップホップのアーティストはみんなハスってるんだから、自分もハスって勝ち上がってやろうという考えになっていた。
その考えがのちに悲劇を生むことになるのだが、俺は気付いていなかった。
空港に着いたときにガチャにその考えを話すと、
「ハスラーみたいだなぁ。いい音楽をやるのが大事だと、俺は思うけど。」
みたいなことを言われたのを覚えているが、その時の俺は何故か、現実が見えていなかった。
ジャマイカに着き、ビデオを作り、キリキリ達(ジャマイカのギャング達)を連れてストリートダンスに出かけた。
そして曲もかけさせて、派手にやってみたのだが、ハイプは感じるが、自分の感情と繋がっていなくて、何をしても満足が出来なかった。
Buju の息子マーカスとも曲を作り、ジャマイカのriddim に乗れ、他の人にしたら前人未到のことだし、何年か前の俺からしたら奇跡みたいなことがバンバン起きているのに、何故か不満でいっぱいであった。
とにかく謎に結果を求めて焦っていた。
ポップカーンを日本に呼ばなくちゃ。
kick out の時みたいにハイプが欲しい。
もっと俺を注目してくれ。
自己顕示欲デブになり、現実が見えていなかった。
日本に戻って稼ぎ、ジャマイカに行くという生活をしていたが、今思うと相当無理をしていたし、音楽に対して全く真剣ではなく、いつもガンジャのことや金を稼ぐこと、人気が欲しいなどとハイプすることばかり考えていた。
triga finga ではなく、ガンジャニンジャになっていた。
するとある日ペトロから連絡が来て、
「ボス(ポップカーン)のショーがカナダであるから、来いや。今回かなりデカイショーやから、ほんまヤバイで。かませや。」
俺は初めての奴らと一緒に行くツアーに参加できることにワクワクしていたが、自分のことがうまくいってない気がしていてモヤモヤしていた、音楽に気持ちが入っていなかったのだろう。
triga finga ではなく、ガンジャニンジャだったからだと思うが。
俺は複雑な気持ちで、カナダに向かっていた。
カナダのモントリオールに着くと、モントリオールはトロントと違い、みんながフランス語を喋っていて、なんだかイメージと違っていた!ホテルに着くと、unruly 御一行がいた!ポップカーンも俺が本当に来ると思っていなかったみたいで、行くとめちゃくちゃ驚いていた。
そして、みんなと一緒に会場に行くと、かなり大きなべニューで、しかも今回はバンドであった。ラフカットバンドをジャマイカから連れてきていて、前回のカナダツアーよりも大規模なものだと感じた!
ショーが始まる。その前に俺たちは楽屋に行き、いつもショーの前にポップカーンがやることなのだが、部屋にunruly のファミリーみんなで入り、円陣を組み黙祷をする。まるでサッカーの試合前みたいな感じだ。そして、ポップカーンがお決まりの呪文みたいなものを、言ってショーに向かう。これをやらないとダメだと言っていた。ジャマイカ人はスピリチュアルな人種なのだ。
ペトロ「ショー前は、ガンジャ吸うなよ。ボスだって、ショー前はあんまり吸わないからな。」
みんなプロというのはメリハリがしっかりしている。ダラシないのがラガではないのだ。ビシッと決めるやつがラガなんだ。
いよいよショーが始まった!
