PETRO
『最近タイロンとばかり居るな。俺のこと忘れたやろ!』
そう、理由は単純に仕事をタイロンに持って行くな。俺にも話をさせろってことだった。
彼等は、仲良しに見えるが実はジャマイカ人同士のが人間関係にはシビアだったりする。
特にUNRULYのようにpopcaanが来る人拒まず、去る人追わずスタイルなので、自然と大所帯になる。UP TOWNユーツからゲトーユーツ、さらには外国人までいるからカオスだ。
バウンティキラーまでの時代は、ゲトーユーツのみで構成されるクルーが多かったが、カーテル以降は、UP TOWNユーツもクルーに加わることも多くなった。
UP TOWNとゲトーは普段は完璧に別れているため、あまりLINKすることが無かったが、ガザネーション(カーテル登場以降の世代)は考えが違うため、UP TOWNユーツもダンスホールの業界に絡むことが多くなってきた。
UNRULYクルーにはUTG(UP TOWN GANG)というやつらもいて、そこのリーダーのシモくんは、ジャマイカで1番デカイ某ホテルの息子でもある。そんなリッチな家の子も魅了してしまうダンスホールはクレイジーだ。
タイロン 『ペトロさんに怒られた?マジ?1回話すで。』
タイロンは、俺のストリートのプロモーションを手伝うから、UNRULY BOSSとのことはペトロさんに頼むことにした。
タイロン『スカル(popcaan)の家いくよ!』
BOSSの家でメシを作るから、来いと言われた。家が近所というのが分かってから、popcaanの家に行くことが多くなってきた。
料理はもちろんUNRULY 料理長コズである。
コズ 『ペトロ怒らせたらしいやん。それはmix upやで。良くないで。みんなお腹空いてるんだから気を付けないと。like a dowggg !!(犬みたいにハングリーだから)』
コズは冷静に教えてくれた。
コズ『アドバイス料2000usになります。』
また本気なのか、ギャグなのか分からない顔をしていってきた。慣れているので無視した。
カナダでショーがあることを知った俺は、冗談半分で、自分も行っていいかきいてみた。
petro
『いいよ。UNRULYクルーだしな。お前vizaあんのか?あるなら行けるで!』
俺たち日本人はPCで手続きをすれば、簡単に取れるので気にしていなかったが、ジャマイカ人は違う国に行くときに大抵VISAが必要であり、取るのが簡単ではない。
同じ人間に生まれて、生まれた国が違うとこんなに状況が違うとは皮肉なものだ。日本人であることに感謝した。
未だにpopcaanは、アメリカのVISAが取れておらず、カナダも4年ぶりにVISAが降りてやっと行けることになったのだ。そんなツアーに参加出来るとは俺はかなりついている。
俺はカナダに行くことになった。
続く。