水晶の舟The crystal ship
ドアーズのナンバーの中で1,2を争うほど好きな曲だ。
なんとも幻想的な音像が素晴らしい。
DOORSの音は究極なサイケといわれていたそうだが、それがよくわかる。
まあ、兎にも角にも、1960年代一世を風靡したトランジスター・オルガンVOX Continentalがいい感じである。
ところで、ブルーズやロックナンバーがドアーズの本領とは思わない。
限りなく近いが、ジャジーナンバーとも言い切れない。
それは、実はこういうサイケバラードにあるのではなかろうか。
1st「THE DOORS」にこの曲を収めていなかったら、かなり印象が変わったことだろう。
「ハートに火をつけて」があり、「ジ・エンド」があり、「ブレーク・オン・スルー」があり、「水晶の舟」がある。
その脇を固める数曲があり、このラインナップこそが、抜群なのだ。
DOORS大好きで、自分にそのすごさを教えてくれたが、1982年夏、突如自殺した野口哲郎君はこのアルバムを「ベストヒット盤そのもの」と評していた。
「水晶の舟」は、元カノMary Werbelowに向けてジム・モリソンが書いた別れの歌。
タイトルはアイルランドに伝わる説話『コンラの異界行』からの引用といわれているが、ドラマーのジョン・デンスモアによると、新興のバンド・ドアーズの船出を歌った歌とのこと。
ちなみに「クリスタル」はドラッグの隠語。
この中の歌詞"a thousand girls, a thousand thrills" (何千という娘たちと、何千というスリル)という歌詞は本来は "a thousand girls, a thousand pills"
であったという。
チブル星人
第9話『アンドロイド0指令』
IQ五万という宇宙人。おもちゃ屋のおじいさんに化けて、子供たちを兵士に仕立て上げようとするエピソード。
ポインターに乗ってパトロール中だったフルハシは、金髪の美女に「ウルトラ警備隊の方ですね」「モロボシ隊員では?」と尋ねられ、「そう モロボシ・ダン」と応えると握手を求められた。そして、それに応じたフルハシは、危うく高圧電流によって殺されかける。
調査に乗り出したダンとソガは、子供たちにオモチャを売り歩く怪しい老人=おもちゃじいさんの存在を知る。
おもちゃじいさんがオモチャを買った子供たちにあげていたワッペンが、ある種の電波を受け付ける受信機になっている事をウルトラ警備隊は突き止め、ダンとソガはおもちゃじいさんのところへ向かった。
フルハシを襲った金髪の美女にデパートのおもちゃ売り場に誘導されたダンとソガは、おもちゃじいさんが売っていたオモチャは、実は本物の兵器で、催眠状態に置かれた子供たちは、午前0時の時報とともにおもちゃじいさん=チブル星人の意のままに動く兵士となる事が判明。
ダンとソガは、おもちゃに見せかけた兵器による攻撃を受け、危機に陥るが、ダンはウルトラセブンに変身。
金髪の美女=アンドロイド ゼロ・ワンもチブル星人もセブンに倒され、午前0時を迎えても何事も起こらず、街は平和に眠っていた。
アンドロイド0指令とは、子供たちに催眠周波を送り、意のままに操れる兵士とし、本物の兵器となったおもちゃによって世界を制圧させる計画の作戦名。
これはこれでなかなか怖い話だった。
アンドロイドゼロワンとおじいさんの組み合わせが淫靡かつ異様で、それも楳図かずおチックでトラウマに仕立て上げてくれている気がする。
ウルトラセブン、ウルトラマンなんかの宇宙人の造形をデザインしていた成田亨さん(成田凌じゃないよ)の仕事は本当に素晴らしいと思う。
昭和40年代の、あのなんとも言えない無機質的な都市の放つエロチック感。
街自体が、一つの、なんかいけない生き物のようである。
真夜中のデパートのおもちゃ売り場という、言い知れぬくらいぞわぞわした臨場感。
ショーウインドーやマネキン人形のエロい静寂。
是枝監督の「空気人形」にも通ずるものを感じた。
ケムール人に出てきた「真夜中の遊園地」のぞわぞわしたエロさも同様だ。
あれがオシャレになると、達郎の「メリーゴーラウンド」になっちまう(笑)。
江戸川乱歩の昭和通俗シリーズに通じるものがある。