優作が生きていれば今、72歳くらいか。
どんな、重厚で味のある役者になっていたか、興味が尽きない。
カリスマな、気難しい性格俳優、だったのだろうな。
その反面、あの頃、あのまんまで、旅だったことを、あれでよかったとほっとしている自分もまたいる。
このアンビバレントが、自分の中で、今も、そしてこれからもずっと、死んだってせめぎ合い続けてゆくのだ。
粟津 號さん
テレビドラマ「大都会PartII」に平原春夫刑事役で出演していた粟津號さん(故人)。
フリーの役者さんだったということだそうだ。
つまりどこの事務所にも所属していないという。
なので、後ろ盾がないも同然で、大都会パート1に続いていて出ていたパート2では、苅谷俊介、神田正輝を登場させたい思惑を持つ石原プロに、半ば強制的に途中降板させられたという。
秋田県男鹿市出身。
浄土真宗のお寺の長男らしい。
神代辰巳監督の作品でなじみ深い。
日活ロマンポルノで活躍もしていた。
「俳優がいく」という著作アリ。
13話「俺の拳銃」での壮絶な殉職も忘れ難い。
この回は、松田優作は欠席。
最初と最後にちょろっと顔を出す。
最初では「北海道に出張に行ってくるよ!平、お土産買ってくるぜ!」なんて感じでお茶目だが、実は、出張=「人間の証明」の撮影、と知っているファンはあまり多くなかったと思われ。
最後にもう一度、見たかった、トクと平のアドリブ合戦。
殉職後、すぐに他局の「赤い激流」で刑事役で出演。演技には定評があったわけである。
松田優作とアドリブ合戦をしていたと著書で明かしているが、確かに凸凹コンビとして妙にはまっている気がしてやまない。
12話での追跡、聞き込みシーンとか秀逸。
後に、ゴリさんを射殺する犯人に抜擢されていたりもする。
「俺たちの勲章」にもゲストで出ている。
ちなみに、14~15話から刈谷氏・神田氏がセットで黒岩軍団に加入している。
「ミスター童貞」みたいな純朴を絵にかいたような身なりの粟津氏。
それとは裏腹に、日活ロマンポルノに出まくって散々いやらしいことをやりまくっている。
実は、「ミスター日活ロマンポルノ」なのである(笑)。