「八月の路上に捨てる」は伊藤たかみの傑作だと思う。
ちなみに、伊藤たかみは男性で、角田光代さんの旦那さんだ。
やしきたかじんさんが亡くなっていたそうだ。
「そうだ」というのは、正月三が日のことであり、しかも密葬で、さすがにマスコミもキャッチできなかったんだろうな。
自分はよく知らないし、あまりこの手の音楽を聴かないのだが、何となく流れる歌からは、充分に昭和歌謡の尻尾というものを感じ取ることができた記憶がある。
ご冥福を祈ります。
さて、昭和歌謡というと、一般的に昭和中期辺りの音楽を指し示すことが多いのだろうか?
何となくそういう感じがするのだ。
美空ひばりとか、坂本九とか。
だが、自分的にはであるが、そう聞けば真っ先に、40年代以降、50年代終わりまでの歌謡曲群を思い浮かべる。
微妙にフォークやニューミュージックとアイドルポップス、ロック、演歌などが混ざったような感じというか。
もっと具体的に言うと、沢田研二、布施明、ちあきなおみ、松崎しげる、みなみらんぽう、りりィから雅夢、村下孝蔵あたりまでなど。
この頃の歌謡曲は今から思えば垢抜けない感じで、それがとてもいいのである。
この頃の時代の空気感というものを、今、リアルタイムで感じたいならこれらを聞けばいいと思う。
ノンストップで聴けば、尚更だ。
近所のラーメン屋では、この頃の音楽のみを、あえて流している。
有線にそういうチャンネルがあるんだろう。
もう、歌を聴きたいからラーメン屋にいく感じだ。
失礼を承知で言えば、味はたいしたことがない(笑)。
話を戻すと、曲名を挙げればキリがないのだが、例えば「私鉄沿線」、「喝采」、「シクラメンのかほり」、「時の過ぎ行くままに」、「ロマンス(ガロ)」、「俺たちの旅」、「私だけの十字架」、「回転木馬」、「傾いたみちしるべ」、「初恋」などがそうだ。
この時代は本当に、切れ味の良くないナイフでグサっと切りかかられた挙句、痛みが妙に心に染み渡る曲…が多かった。
哀愁の具合が尋常じゃなく、後味も決して良くない。
これが、子供心になんとも言い難い鮮烈なる影を落としたのである。
ところで、大好きな筒美京平とかのモノは、とても洗練されている。
なので、自分的には、これは昭和歌謡とはいえない。
さて、OKmusicというサイトに登録して、自作楽曲を臆面も無く公開している。
当然勉強のために他の方の音源もよく聴く。
そのなかで特に「あ、これいいな」と思ったアーチストがいる。
maborosiさんという方がそうなのだが、この方は昭和歌謡のノスタルジックさを、ものの見事に感じさせてくれるのである。
非常に哀愁感が心地良く、ある年代以上の方の「ど真ん中ストライク」をズバッと打ち抜くものだと、いつも感心しながら視聴させていただいている。
ごくベタないい方で恐縮しきりだが、いやいや、まさに「タイムマシンに乗っている気」がするのである。
ごく今風に哀愁を感じさせるアーチストは多いが、だけど、ここまでコテコテに、この手の味を出せる人って、実は意外と少数派だと思う。
それ故に本当に心が和むのだ。
是非、一聴して欲しいと思う。