宅録ミュージシャン雑記  7月某日  | 脱腸亭日常 ~MY TESTAMENT of trifling beetle~

脱腸亭日常 ~MY TESTAMENT of trifling beetle~

基本毎日更新。名誉も金も、素晴らしい音楽を作り人々を感動させようという気持ちもない、極めて不心得なアマチュアミュージシャンであり、アマチュアアーチストtrifling beetleの遺書。
HP https://triflingbeetle.wordpress.com/2025/09/06/trifling-beetle-official-hp/

今日も先週からの続きで、「YES」、「夏のMAGIC」、「Sweet Sweet Trifling Music」のパートレコーディング。

「YES」では様々なパーカスを録って、それらをところどころ反転させてみた。

BEATLESがよくやっていた「逆回転」だ。

彼らはアナログテープでこれをやったが、今はソフト上でクリック一つするだけで可能なのだ。

テクノロジーの進歩は、恐ろしいというか。

逆回転させることによって音の重厚感や雰囲気がガラリと変わる。

その効果が欲しかったのでやってみた。

まあまあという感じかな。

可もなく不可もなくなのでOKとしよう。




OKmusicに何曲か新曲をアップロードしてみた。

ネット上での聴こえを調べるためだ。

まあなんとか鑑賞には値するレベル(笑)。

trifling beetle - OKMusic





さて、名曲のモデル死亡、というニュースが流れていて、思わずなんだとクリックしたことがある。


「LUCY IN THE SKY WITH DIAMONDS」は、ビートルズの最高傑作と誉れの高いアルバム「SGT PEPPERS LONELY HEARTS CLUB BAND」に収められている、サイケデリック臭プンプンなナンバー

「ダイアモンドを持って空にいるルーシー」、なんとも珍妙なタイトル。

かなり抽象的で、ファンタジーのような曲で、タイトルの頭文字を取ると「LSD」となることでも話題を読んだ。

放送禁止にもなったとか。

ジョンもポールも、それは事実無根で明らかな言いがかりだ、と強く否定していたが、これはどう見ても「明らかに狙って」いるな(笑)。

ジョンいわく「息子のジュリアンが描いた絵を参考にした」、つまり、ジュリアンのクラスメートのルーシーがダイヤモンドを持って空を浮遊している絵..それこそがこの曲のモチーフなのだと。


このルーシーさんがなくなったということ。

こういうネタまでニュースになるんだね、ビートルズが絡むと。

そういや「LOVERY RITA」に出てくる婦警(!?)のRitaさんがニュースになったこともあった(笑)。


さて、この曲は見事に、薬物での幻覚作用を想起させる内容満載。

例えば「新聞紙でできたタクシー」「川に浮かんだ小船」「タンジェリンツリー」「マーマレードスカイ」「万華鏡の目をした少女」「黄色や緑のセロファンの花」「木馬に乗った人々」「マシュマロパイ」など、西洋的陽性というか、絵本的色調と言うべきか、そんなカラーに溢れている。

摩訶不思議で童話的な単語がこれでもかと羅列されているのだ。

それまでのどのビートルズナンバーと比較しても明らかに異質。


LSDはマリファナよりも安易に恍惚状態に達しうるとされているが、そのトリップによって得られるサルバドール・ダリ的世界のパンチは強烈で、確実にものの見方を変えるそう。

要するに、日常におき、決して疑われることのない既成の価値体系の欺瞞性というものが、次々と余すところなく露見してきてしまい、ついには新たに見開かれた新世界というものを発見するに至る..と表現されたりする。

それは自己の新たなる表現の源泉となりうるといわれ、アーチストがドラッグを愛して止まない理由のひとつが、そこにあるのかもしれない。


このプロセスを、簡潔かつ適切に表現していた文献を見たことがある。

ChoseもObjetもどちらも「モノ」だが、フランス語に習えば、Choseは「社会の中で何らかの意味用途を与えられているモノ」であり、Objetは「有用性とは無縁な単なる存在するだけのモノ」となる。

つまりドラッグとは、「本来Choseであったものを、Objetという存在に変える橋渡しとなるもの」という。


脱線したが、このナンバーはアレンジ面でもまた、とても摩訶不思議で、まずバースでは3拍子に乗って、幻惑的なハープシコードのリフが流れる。

それに併せてジョンのけだるい、ラリっているようなボーカルが乗っかってくる。

これはエフェクター処理されていてすごく不気味な感じだ。

ブリッジで、静寂を劈くようなリンゴのドラムフィルが入ってくるのが合図となり、曲調は4拍子のロックへとガラリとシフトチェンジ。

ひとしきり盛り上がりを見せたあと、再び訪れる静寂、そして再度盛り上がりを見せて曲は幻覚の残像の如くフェードアウトする..と言う風に進行していく。

SGT PEPPERS~というアルバムのトータルイメージを決定付けている曲、といっても過言ではない。

サビも含めて全体的にけだるい感じなのに、ポールのベースだけは所狭しと動き回っている。

18番のランニングベース~カッコいい。

すごく醒めている。

いわば、他の三人がラリって陶酔しながら演奏している中、ポール一人が覚醒して、ノリにノッてベースを演奏しているって感じ。

実際、薬物に一番ハマらなかったのはポールらしいと言う話もある。



ジョン、ジョージ、リンゴの陶酔、ポールの覚醒..ジョージ・マーティンのプロデュースがこれまでを計算していたのなら、ホンマに素晴らしいのひとこと。

GJ!!!!!!!!!!!!!!