Monstar-fm にてアルバム「マクガフィン」を販売開始する運びとなりました。
一足早くミュージック・バザール では販売を開始しています。
人生の意味とかは、実はよくわかりません。本当に意味があるのかさえもぼんやりとしています。
若い頃は人生の意味をよく考えていなかったのか、希望で満ち満ちていたのか、前途には洋々としたものしか感じなかったのです。人生は意味で溢れて、いたし。
しかしある時、あることをきっかけにして、自分が描いていたものは、実は根拠がまったくなく、単なる空元気、いや空集合のようなものであり、その実体はまったくなく、ただ奥底知れない空洞なんだということに端と気が付いて、とても驚愕してしまったのです。
本当に怖い体験でした。
そのことに苦悩した挙句、一度自分を見つめなおしリセットしたいと考えたのです。知り合いに相談し、その伝を頼り、生まれた故郷を離れて四国の西南端に近い街へと、期間未定でしばらく移住することにしました。
この体験が、自分に画期的なものをもたらしたとはいいがたいのですが、マイナスからゼロへ、そしてゼロからプラスへと生まれ変わる起爆剤としては非常に有効でした。生まれ変わるまでは行かないのですが、煮詰まる以前の人生には、ある程度帰還できたのではないのでしょうか。
人生はいろいろな要素が複雑怪奇に絡み合ったもの、縦横斜めの糸がややこしく絡み合ったタペストリーなのかもしれません。それが例え観賞に耐えられないレベルの作品だとしても、それ自体に意味や価値がないとは思いません。
その糸のひとつである「人生を彩るための要素、小道具=マクガフィン」に自分なりにスポットを当ててみました。今の自分の人生を構成しているものってなんだろうか、と。
たいしたものがあるわけもないのですが、そうやって自分をCTスキャンにかけてみると、いくつかのキーワードなんかがぽろぽろ溢れてきました。ポジティブなものよりもネガティブなものの方がはるかに多い(笑)。それもまた、人生だと思います。
あくまでも自分の人生や生き様が題材ですが、このアルバムを聴いてくださった奇特なリスナーの方も、そうやって自分の人生の構成なんかについて、自分なりの考察をしてみるきっかけになればいいなと思います。ひとつのモデルケースとして。
ところで、今はあの頃と逆のルートで、故郷を目指している旅の途上です。途中で解決していかないといけない課題も、実はたくさん抱えています。でも故郷を目指すのは、自分の人生の一つの目的だと考えているのです。
生きていて何を目的にするのか、生きてきてよかったのかどうか、それはいつまでもわからないかもしれません。でも、それを自問自答しながらやんわりと生を全うすることは、それ自体がすでに意義を要しているのかもしれません。
本当はそんな大げさなコンセプトはほぼなかったのです(笑)。
が、ただ徒然に、出来上がってくる新曲をひたすら録音する作業を重ねていくうちに、自分の人生の内容をそこに投影してゆくということに対して、なんとなくカタルシスを感じてしまったのです。そうやって作品の中に、自分の人生の構成物を順次はめ込んでゆきました。その集合体です。自分の人生を断罪するのも、分析するのも、糾弾するのも、癒すのも、自分の心の持ちよう一つかもしれませんね。
エゲツナイ同属嫌悪から始まり、「国境のない世界」を望みながらも心に蔑視感を巣食わせているという自己矛盾…でカーテンを下ろします。
[マクガフィン] trifling beetle
01.ありえないほど緩く、とまどうほど軽く
02.意識
03.つむぐ
04.アスペルガーズ・ブルース
05.Nuclearまみれの夏に想うこと
06.春爛漫
07.hormesis
08.世界の終わりの終わりの終わりへ
09.太陽は夜も輝く
10.ありがとう、さようなら
11.明日はちょっとだけ愉しみな日
12.Gloomy on a Rainy Day
13.あめあがる
14.May
15.バンデージ
16.西の太陽、東の月
<KYO-SHO RECORDS>