三つ子的評価 ☆☆☆☆

【書評】結局は人間は"影"から逃れられないね、というお話

まぁ1言でいえばそういう事
ネタバレを回避し かつ内容をまとめれば そういう内容になるかと

では 味気ないので何か書く
世の中には様々な"力"がある
軍事力だったり 経済力だったり 宗教の類だったり
力があれば 大概の不幸は回避はできそう
では 皆が力を持てば世界中が幸せに慣れるのか?
答えは否、で 例えば世界中全ての国がアメリカ並の核戦力を きっと我々は怯えるだろう
何処かの国がトチ狂えば あっという間に世界の破滅だからだ
さらに言うと、人間の業の深さは今更核抜きの安全保障体制を確立出来ないし、築き上げたテクノロジーを放棄できない
だから "現代の不平等条約"たるNPTが存在する訳で、、、、、

作中で富子なる人物が宣うように 呪力とは本質的に 一人一人が核ミサイルのボタンを持っているようなモノである(やっと内容に入れた)
一応触れると、呪力とはサイコキネシス、つまり超能力の類
遺伝子操作なんかにも使えるし、文明崩壊後の人口激減した社会(日本全土で人口が6万人足らず)の生活を支える原動力でもある
が、破壊や殺戮にも使える訳で、1人のサイコさんが数万人程度なら殺戮可能でもある

なら どうするか?
感情を抑制し、知識を封印する社会、つまり一見平和だがディストピアな社会の出来上がり となる
無菌室のような社会といえようか?
それ故に 一度破滅が訪れると 抵抗力がまったく働かないとも言えようか

個人的にはバケネズミの話が気になる所
あれこそ「理想の社会」を築き上げた人間の業の深さを物語る と思っている
動物裁判でスクィーラを笑う人間ども
だが その醜いケダモノに言いように嵌められ 滅亡寸前に追いやられたのも人間
その原動力は確実にスクィーラの知能と人間どもの怠慢に由来する
つまり 知能という一面では町の「人間」どもより優れた スクィーラを人間どもは嘲笑した訳やね
だから スクィーラの叫びを人間どもは真面目には取り合わなかった
が 冷静に考えればそんな知性溢れるスクィーラを嘲笑するのはおかしい、全くの夜迷い事を言うのだろうか?
人々は業から逃れるため スクィーラを嘲笑せざる得なかったのではないのか、、、、、私はそう思う
私が嫌いな言葉に「協力」「団結」「力を合わせる」ってのがある
いや 概念自体は嫌いなんじゃないんだけど、、、、、
人が「団結」や「協力」するのは 基本的に「大きな仕事をする時」といえましょう
当然 ビックプロジェクトはリスクやコスト、反発や反対もある
で 「団結」や「協力」は一歩間違えると「リスクはそちら、利益はこちら」みたいな問題を孕んでいる
人間 卑しい生き物で富貴を共に出来ず 艱難辛苦もまた なるべく共有できなかったりする

で、本題
自民党の総裁選で 安倍元総理が「政府は日銀と協力してデフレ脱却を」と語る
いや、それはいい
が、「協力」と謡う以上 どの程度政府はリスクや負担を背負えるだろうか?
例えば 日銀の積極的な金融緩和の結果、日銀バランスシートが傷んだ際には 資本注入という形で財政出動が可能なのか?
さらにいうと政府は(場合によって不利になる)アコード締結に踏み切れるだろうか、と
仮に数十兆規模のバランスシート拡張したら、場合によっては数兆規模の財政出動を余儀なくされる
コレは増税か、さらなる国債発行か 歳出削減に繋がる
ここで明確化させないと行けないのは、金融緩和については政府が主導すべきという事
何故なら日本は民主主義を体制として選択しているから
というのも 民主主義(財政民主主義)は国民からして「自分達の税金は自分達(の選んだ議会や政府)が決めて使う」という理念がある
つまり 日銀の独断で 巨額の財政出動に繋がる金融緩和は難しいという面がある
事実、アメリカでは財務省とFRBがアコードを締結している
閑話休題、さらに言うと「政府には国債発行に足枷が生まれる」とも言える
大規模な金融緩和は一時的にしろ 金利水準を低下させる
コレは政府からすれば「大量に長期債を発行するチャンス」ともいえる、金利が安いので 借金の好機だからだ
が、長期債を出せば、流動性を政府が吸収する形になる
故に政府は国債の償還期限の短い短期債発行を増やす必要がある
当然借換リスクを背負うし、それが財政的な足枷にもなりうるケド

「協力する」、言葉は美しいけど 結構リスクや負担があったりする
特に金融緩和の方向がQE3の様にリスク性の資産購入に向かうなら尚更
結局の所 フリーランチはない という話
政治家が国民に政策(メニュー)を出す以上、コストやリスクを提示するのは当然と思われ

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余談
仮の話
金融緩和で円安が進み、食料やガソリンが高騰した場合
当然 必需品への依存が(相対的に)高い低所得層程負担が大きく、結果(選挙対策もあり)何等かの形での減税や補助がある、、、、、かもしれない
当然財政がしんどくなる
こう言う観点からも 金融緩和は政府の主導が必要だと思った次第
驚いた!
マルハンに
ウィキをみると
・売上 2兆1209億2200万円
・営業利益 556億2700万円

つまり営業利益率2.6%、かなり低いといわざる得ない
だいたいの営業利益率は 日産6.1%、トヨタ4.6%、イオン2.7% ファナック50%(笑)になる
一般に製造業よりサービス業の方が利益率は低めとされます
理由は様々とは思いますが 1つは日銭の問題
つまり小売業は製造業に比べ資金繰りで有利な為 薄利でも成り立ちやすいといえそうです
特に今みたいなデフレではコレは大きい

閑話休題、よくネットで「パチンコは儲かっている」と聞くが 実態はリーマンショックで疲弊したトヨタや小売り不況のイオンにすら劣るのが実情、、、、、
つまり あんまり儲かっていないと

だが視点を変えてみる
やはりウィキにはマルハンの総資産は2807億円とある
ROAで見ると10%前後になる、コレは日本企業ではなかなかたいしたモノです
つまり資産からみると かなりの収益企業と言えそうです

では回答を
仮に私がイゼルローン要塞(パチンコになった銀英伝の要塞)に 1万円投入する
8000円帰って来た
イゼルローン要塞には2000円落ちる訳だが、要塞側は「1万円いただいた」と言い張る
つまり お金は2000円しか落ちてないのに 売上は1万円となる

かるくググった所 パチンコの換金率は70~90%程
仮に80%と仮定すれば、マルハンの実際の売上は4300億円程度になるハズ
営業利益率は13%!
1番景気よかった頃のトヨタですら10%前後
いかにパチンコが景気がいいかの証明になるかと思います。

やや逆説的な言い方になりますが、パチンコは様々な参入障壁があります
ヤのつく自由業であったり、警察や各種団体の利害 法令、イメージや社会的なタブー感、、、、、、
逆にいえばそれだけのモノを抱えて経営が出来るという事は それだけうま味のある事の証明でもあります
ホントに儲からないなら 駅前の土地をコンビニにしたり売り飛ばした方がマシなハズです
つまり参入障壁こそがパチンコが高収益産業の傍証とも言えます

ミツゴ的評価 ☆☆☆☆

・党員の天国、労働者の楽園、農民の地獄、、、、、、

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ソ連の歴史
世の中、しばしば「誰かの繁栄は誰かの不幸」という事があります
例えばポーランド
ポーランドは17世紀にはヨーロッパ有数の大国であり、華やかな貴族文化や他民族社会を構築していたが その資金は農奴から搾取した穀物を西欧に売って捻出していた、、、、、
本書を読めば、ソ連の(アメリカに互するだけの)軍事力、技術力、工業力は豊かな大地とそこに住む民の犠牲により成り立っていたと解ります

では内容を
ソ連という国はロシア革命により成立しました
ロシア革命とは第一次世界大戦で疲弊した都市労働者階級は「戦争反対、パンよこせ!」とロマノフ王朝を倒した訳で、ソ連という国は「労働者の支持の上にたつ」国ともいえますね
が、そこが問題です。
労働者はパンを食べる、当然安い方がいい
労働者にいい仕事を作るには国が発展し 工業化が必要になる
そのためには先進国から最新インフラや技術を輸入する訳だが、当然元手がかかる
ソ連政府はどうしたか?
農民に多額の税をかけたり作物を安く買い叩いたりした訳です
安く買った作物を労働者に安く売ったり、海外で高く売り、その利鞘でインフラを輸入した訳ですね
つまり都市と工業の発展に必要な資金を農村からの搾取で賄った訳です

当然農民はやる気をなくします
働いたら働くだけ持ってかれるし、安い買い取り価格では赤字になりがちだからです
さてソ連有数の農地といえばウクライナの黒土地帯
で 都市といえば(キエフをのぞけば)たいていロシア人の町
つまり ソ連の政策は 事実上、"ロシア人のためにウクライナを搾取した" となりがちに
当然ウクライナ人は根に持ち 後の歴史に響く訳ですが、、、、、、

さて 働かない農民
ソ連政府は無理矢理に働かせようといろいろするが まぁうまくいかない
なので「土地を増やそう」といって農民をシベリアや中央アジアに送り込む訳です
当然"無理矢理"な人もいたでしょうが。。。。。
だけど そこにも生活している人や生態系がある訳で、移民のせいで遊牧民は生活基盤(牧草地)を失ったり、乾燥地帯での無理な農業は(生産ノルマがある)自然を破壊し 土地を荒らす結果になりました(ウズベキスタンの塩害問題は有名)

普通の資本主義国だと こうなれば食料価格が上がり、消費者はムダ使いを止め 生産者は増産し(価格上昇がインセンティブになる) 結果自然と食料の需給が安定するはず
が、ソ連は「労働者の楽園」
都市の労働者に苦痛を強いる 食料値上げなぞ許すわけもなく 食料問題は最後までソ連を縛る形になりました
「労働者の天国」ソ連では 労働者は温遇されていました
アパートの家賃はタダ、何かあるたび労働時間は短縮、生産に対して高い賃金、安い生活物資、ソレなりに充実した社会保障、、、、
しかも70年代には石油危機により産油国であるソ連に莫大な資金が流れ込む
さらに豊かになる労働者
当然 労働者の賃金が上がり消費も増えるが 別に生産が増えている訳ではない、、、、
例えば「労働者の楽園」では 働こうが怠けようが賃金は出る
つまり労働者は怠けるんで 生産は増えない
そんな労働者はクビにすべき? いやいやソ連だと新規雇用が難しいので「代わりの人」がいない
だから怠け者でも雇わなければならない
だから失業も少なく 労働者が雇えない訳で、、、、、まぁ悪循環
特に豊かになった労働者は(今の中国みたいに)肉食を始める
が、ソ連じゃ家畜の餌のトウモロコシは作れない!
じゃあ どうしたか?
アメリカやフランスから輸入する訳だ
東西冷戦いいながら ソ連はもはや西側抜きでは社会が成り立たなくなりつつあった と
すると 代わりに何か輸出しなければならない訳だが ソ連製品は生産性が低い(豊かな労働者が殆ど消費する)!
では どうするか?
生産性を上げなければならない
今の中国みたいに先進国の技術や資本を入れる訳やね
すると 情報や矛盾が噴出し、まぁ ジ・エンド

ソ連は世間で言われるような「軍事優先の人民の地獄」でもない という事に注意
ソレなりに「労働者の」生活や福祉を考えていた事、例えば識字率では先進国並に高い国であるなど 人民の生活に配慮した国でもありました

では 何がいけなかったか?
市場メカニズムを無視し、労働者を温遇し過ぎた事かもしれないですね

ナチスドイツの政策を羨ましがる人がたまにいます
ナチスも公共事業を増やし 失業を無くし 労働者でも車や旅行を楽しめるようにしました
が 結果 消費は増えるが生産は増えず、貿易赤字が激増、「豊かな生活に必要な資源」を求め 戦争に突き進みます
ナチスのいう「ドイツ人の幸福」とは東欧のスラブ人奴隷化や資源搾取を前提としていたわけです
ソ連の掲げる「労働者の幸福」もまた 農民や経営者や資源の搾取を前提としていた訳ですね

この事は「市場メカニズムの勝利」として 後に新自由主義の台頭につながる、と

ソースは民明書房「高速バス、その起源」より

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高速バス、その起源は古く、ローマ時代まで遡るという

帝国内外に張り巡らされた、街道を超大型の馬車が掛け目るぐるのが始まりとされる
なかでも、首都であるローマと帝国西の果てにある属州フクオカトゥスとを結ぶ長距離馬車「ハカトゥム号」は非常に有名であろう

ホッカディア出身の著述家ヨウ・オオイズムスは「cogito、Mercurii dies」において 以下のように語っている

"ハカトゥム号、それは長距離馬車のディアナであろう
私はミネルウァのサイコロによりハカトゥム号にのる機会を得た訳だが、14時間に上る移動で腰は砕け、眠る事すらままならぬ
ハカトゥム号には貴族や富裕層向けの「プレミアム」、平民向けの「ビジネス」、奴隷や貧困者向けの「エコノミー」がある
プレミアム席の富裕者達は広大かつ質の高い座席に横たわり、甘味な飲み物や菓子を食べつつ、窮屈で身動きすらままならぬエコノミーの乗客達を眺めている"