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ミツゴ評価 ☆☆☆☆
【書評】絶対に"勝てない"戦争
こんな事書くとアチコチから叩かれるかもしんないけど
戦争、特に侵略、とつく戦争は、経済活動、突き詰めれば"金儲け"に外ならない
つまり領土や資源 市場等を求める戦争である
日中戦争は侵略かどうかはさておき アノ戦争には上記を求める向きがあった事は誰も否定はしないだろう。
戦争が経済活動である以上 "利益"を出さなければいけない
利益は"収益-費用"である以上 費用がデカ過ぎれば利益はでない
だから日本は勝てなかったんだ。
"占領"に必要な兵力には諸説あるが 1つには1km^2あたり1人 他方には人口1000人あたり5~50人なんて言われていたりする(ここでは1000人あたり10人を採用)。
これで考えれば中国全土を占領するには最低でも数百万の兵力が必要になる
そのコストは莫大であり、とても日本の国力では耐えられない
かといって 中国人からの税収に頼れば彼等が反発することは目に見えている
そう、日本軍がいくら中国軍を叩いても 中国政府がくじけない限り、補給を確保し続ける限り日本は勝てないんだ。
これこそ"知日派"蒋介石の戦略であった訳やね
豊富な人口がいる限り 無尽蔵に兵員を補給できるし、近代装備は欧米から調達する
その為に欧米を中国の味方に付けるべく様々な工作を行う
欧米諸国は当時から民主主義を採用しており、国民の意志が外交に反映される
そう、欧米向けにプロパガンダを行った訳だ
では 日本はそのような努力をおこなったか?といえば弱いといわざる得ない。
つまり 本書は日中戦争を
日本の軍事力VS中国の外交力
という見方をしている
(ただし、私は筆者の言うように日本のソフトパワーが伝統的に弱いとは考えない
例えば日露戦時には英米に対してかなりの外交的な成果をあげている)
本書を読んで気付いた事をいくつか
まず汪兆名政権に対する評価
私は今まで汪政権は唯の傀儡政権に過ぎないと考えていたが 実は違うと知った。
先にあげたように蒋介石の国民党政権は国力の脆弱な日本に対して"長期戦・持久戦"という戦略を採用した
コレは中国国民の犠牲を前提とした戦略であり、国民党内部にも多少の妥協をしてでも和平へ持ち込みたいという勢力は一定規模存在した。
これが汪兆名政権だ
日本側は当初「満州国の存在と中国での経済活動の自由を認めれば撤兵してもいい」という条件を出して来た(日華協議記録諒解事項)
その条件で汪兆名政権は日本と和平を結んだ
だが実際 蓋を開けてみると「日本は撤兵しないし、中国の政治は日本人顧問が行い中国人による中央政府を認めない」という内容(日支新関係調整方針)
これじゃ 侵略といわれても仕方はない
要するに汪一味はまんまと騙された訳だ 騙したのは勿論日本人だ
次に 本書の3割を占めるであろう検閲ネタ
検閲は占領行政のイロハである、よく「GHQの検閲が~」なんて言う人がいるが、んなもん軍隊じゃ当たり前だ
日本軍も中国でやっていたが 日本人は中国人を洗脳しようとしたのか?
全般的な傾向として 親日 親汪 反国民党的な内容に関してはスルーである、例えば"国民党エリアでは物価が上がって生活出来ない"といった類だ
逆の場合 反日 反汪 親国民党 あるいは日本本土への反戦や嫌戦、不利な戦況等はNGであった
例えば「チャンコロの首を切ったときの気持ちは実に何とも言えんな、しかし断末魔の顔だけは忘れられん」「アイヤ、マーといってね 凄いよ 僕も殺人前科何犯かは判らぬ、しかし戦場では治外法権だからな」とか
あとは捕虜を殺したら脳みそが炸裂した とか 徴発をやりまくった 家を焼いた、の類やね
まぁ詳しくは「検閲月報」で調べてね
本書を読んで感じたのは 何故世界から植民地が無くなったのかという事
結論から言えば 旨味のある土地が無くなった事と ナショナリズム高揚等で維持管理費が洒落にならなくなった事だ
ならば何故中国が欧米の植民地にならなかったのか?欧米ですら食いつかない中国を日本が食いつけるのか?とちょい考えた。
そう考えれば平和憲法とは"安いお題目に乗せられて、割に合わない戦争をしない"という一面があると感じさせられたム


