2000年2月26日生まれの“どんちゃん”
(ゴールデンレトリバー ♂享年15歳3ヶ月)
2000年 GW、子どものいない我が家にやってきた。
(子どものいない経緯は「復讐」シリーズで書いた通り)
子ども?友達?天使?神様?
圧倒的な存在感だった彼(どんちゃん)。
どんちゃんが天国へ旅立つまでの七日間を綴ろうかなと。
読んでもらえると嬉しいな(*´∀`*)
2015年6月9日
夫が出かける5分前、どんちゃん下血。アタシは、慣れた手つきでペットシーツを取り換え、彼のカラダを拭きながら、夫に告げる。
「今日……かもしれへん」
舅の介護をしていたときの記憶が蘇る。気道が塞がり、なんとか気道を確保したあと状態がよくなり、家族全員で笑いあった。数日後、高熱が続き、意識が薄れ、下血。そして……。
最期が近づいていることを思い知らされる。
彼のカラダは熱く、呼吸は変わらず苦しそうだ。アタシは彼の両手を握り、話しかける。
「どんちゃん……しんどかったら、もうええで……なお……大丈夫やから……なお……もう泣けへんから……」
「……だから……だから……もうラクになってもええんやで」
「どんちゃん……なお、大丈夫やで……もう、ええんやで……」
彼の瞳にアタシの顔が映っている。アタシの視界が滲んで、彼の瞬きを確認できない。
夕方。激しかった息づかいが急に弱くなる。
(あぁ……どんちゃん……もう、いくんだ、ね……)
彼は、アタシに合図を出すかのように、繋いでいたアタシの両手を、ぐぐぐぐぐーっと押す。アタシは、彼の上半身を左太ももに乗せ、頭を支え抱きしめた。
「どんちゃん……もういくんやなあ……」
「ありがとう……ありがとう……ありがとう……」
「どんちゃん、ホンマにありがとう……」
彼は、すごい勢いで、ぐいいいいーんと伸びをする。それはそれは気持ちよさそうに“ぐいーん”と伸びる。いままで、まったく動けなかったのが嘘みたいだ。それはまるで、窮屈なカラダを抜け出すプロセスであるかのように感じられる。
クン、……
クン、……
クゥーン、……
彼は静かに呼吸することをやめた。
“もうすぐ17時ですよ”のチャイムを聴きながら、……それは“散歩の時間”を告げるチャイムでもあったのだが、……彼は出発した。