2000年2月26日生まれの“どんちゃん”
(ゴールデンレトリバー ♂享年15歳3ヶ月)
2000年 GW、子どものいない我が家にやってきた。
(子どものいない経緯は「復讐」シリーズで書いた通り)
子ども?友達?天使?神様?
圧倒的な存在感だった彼(どんちゃん)。
どんちゃんが天国へ旅立つまでの七日間を綴ろうかなと。
読んでもらえると嬉しいな(*´∀`*)
2015年6月7日
昨夜は、ほとんど眠れなかった。最初は苦しそうで聞いているのが辛かった彼の呼吸音。その音が聞こえなくなることが何を意味するか。そればかり考える。そのたびにアタシの視界は滲む。
今日は日曜日。夫と二人、昔のアルバムを引っ張り出して、どんちゃんとの想い出いっぱいの写真をiPhoneカメラに収める作業が続いている。まるで遺影を選んでいるかのようで、時折心が軋む。
夫と二人、どんちゃんを囲むように布団を敷いて、その日から過ごすことにした。
どんちゃんの頭、特に耳の下辺りがすごく熱い。高熱にうなされているように思える。歯を食いしばっている。吸いのみ器でさえ水を飲むことができない。スポイトで水を口の中へ入れると、くちゃくちゃくちゃと舌を動かす。
日中、彼の様子を見に来る姑は「水飲まさなあかん」やら「ビスケットも食べれやんか」やら「どん、また元気になって散歩行かなあかなして」などと、アドバイスや声掛けをしてくれるのだが、今のアタシには苦痛なだけだ。アタシには、彼の状態が手に取るようにわかる気がした。もう、元気になって散歩へ行くことはない。奇跡的に息を吹き返した二か月前の出来事は、アタシに覚悟を促すために起きたのだと思う。
鼻水が固まって鼻の穴を塞いでいる。お湯で拭いて取り除いていくが、鼻の奥が詰まっているのだろうか、鼻呼吸がしづらいようだ。時折、唇が震えるほど激しく口から息を吐く。歯を食いしばっているため、思ったほど息を吐き出すことができない。ぶるぶるぶる……何度も唇が震える。呼吸音が聞こえなくなる。舌が気道を塞いでいるようだ。アタシは彼の身体を少し起こし、夫が彼の口をこじ開け手を突っ込む。呼吸音が復活する。
「優しく迎えに来てって言うてるやろ!!!神様のあほんだら~!!!」
アタシは天井に向かって悪態をついた。