われらの時代 (新潮文庫)


全く同じタイトルの小説があります。
アーネスト・ヘミングウェイのこれです。

われらの時代・男だけの世界 (新潮文庫―ヘミングウェイ全短編)

正確にはこちらは作品のタイトルではなく、短編集のタイトルです。しかし、書かれたのはこちらの方が25年程早い。このタイトルに翻訳された時期が大江健三郎のより先か後かわかりません。我が本棚からわかる情報ではヘミングウェイの邦訳の方が後のようです。
二人のノーベル文学賞作家の作品タイトルが重なるなんて(あくまでも日本国内の問題ですが)偶然でしょうか?
ヘミングウェイの「われらの時代」の原題は「in our time」ですが、それを大江健三郎が知っていて「われらの時代」とタイトルをつけたのか、それとも知らずに(訳されるとしても違うタイトルになると認識していたとしても)これを書いたのか私は知りません。
でも、ヘミングウェイが約90年前に、大江健三郎が約65年前に描き出したわれらの時代の本質は、驚くほど現代的です。男達が熱く時代を買ったっていた頃に絶望感や閉塞感に悩まされていたのは少数派だったでしょう、今に比べれば。でも、その時代の空気をうまくつかんだから評価された。そして、広く普遍化されてノーベル文学賞に手が届いた。

ところで村上春樹さん、あなたの小説が時代を経て広く普遍化されたとすると、そこはまるで地獄のような世界ですね。

我々はもっと深刻に「時代」を語り合い、地獄に堕ちないよう不断の限界の努力をしなければ、これからすすむ道はとても険しいものになってしまうでしょう。おそろし~。

あっ、大江健三郎の「われらの時代」についての読書感想文になってない!

まあ、そう言うこともあるでしょう。
なにしろ私は私ですから。