今日は、初のさいたま地裁出張だったんですが、建物内は完全に迷路

 さいたま地裁

 

 カラフルな地図がいたるところに貼ってあったので、なんとか目的地に辿り着けましたが、B棟から入ってD棟に向かうのにずっとキョロキョロしながら歩いていたので、一歩間違ったら不審者

 でも、初めての裁判所に行くのは、個人的には観光気分半分なので、いつもワクワクします

 さて、今日は久々に刑事のお話をさせていただきます。


◇プロローグ

 先週金曜日(平成24年10月26日)に第1回公判があった国選弁護事件ですが、明日いよいよ判決です。

 守秘義務に反しない限度でお話しすると、この事件の被告人は、20年近く路上生活を続けているホームレスで、知的レベルに些かの問題がありました。

 そのため、人定質問で裁判長に「職業は と聞かれ、無職にもかかわらず、「会社員です。」と応え、裁判長を慌てさせる一幕もありました。
 検察官も、「弁護人、何とかしてくださいよと言わんばかりの目で、私の方を眺めていましたが、裁判長が、「起訴状には無職とありますが、間違いないですねと誘導してくれて、なんとか事なきを得ました。

 法廷ドラマをよくご覧になっている方は、刑事裁判の流れをよくご存知かもしれませんが、刑事の公判は、このような人定質問から始まります。
 そこで、この人定質問を含む冒頭手続について、今回はお話しさせていただこうと思います。
 

◇冒頭手続

 冒頭手続とは、誰がどのような事実に基づいて刑事裁判を受けるのかを明確にし、被告人がその裁判に対してどのような態度をとるのかを述べるための手続をいいます。

 具体的には、冒頭手続は以下の流れで進みます。

人定質問(刑事訴訟規則196条)

起訴状朗読(刑事訴訟法291条1項)

黙秘権等の権利告知(刑事訴訟法291条2項、刑事訴訟規則197条)

被告人及び弁護人の被告事件についての陳述(刑事訴訟法291条2項)


人定質問

 裁判官が入廷し、開廷すると、被告人を証言台に立たせ、まずされるのが人定質問です。

 通常、人定質問では氏名生年月日本籍住所(住民票の住所と異なる場所に住んでいる場合は居所)、職業を尋ね、起訴状に記載されている事実と一致しているかを確認していきます。
 これは、人違いでないかを確認するためなのですが、最近では運転免許証にも本籍が記載されなくなっているので、本籍を見る機会が減っており、人定質問でも本籍を途中までしか言えない被告人もけっこういます。

 そのような場合は、裁判長が起訴状記載の本籍を読み上げ、間違いないかを聞くなど、誘導を交えながら進める方法を用いることもあります。

 ちなみに、被告人によっては、氏名すら黙秘するケースもあります。
 氏名がそもそも黙秘権の対象になるかという議論はあるのですが、いずれにせよ、被告人が氏名を答えないと、人違いの可能性を排除できません。
 しかし、被告人が氏名等を黙秘すると裁判ができないということになると、多くの被告人が氏名を黙秘してしまうので、このような場合には、「留置番号、写真、留置担当の警察官の証言」などで特定するなどの運用がされます。

 なぜここまで厳密に人定質問をするのかというと、前述のとおり人違いを排除するためなのですが、人違いで裁判を進め、判決が出てしまった場合、その被告人として振舞ってしまった人に対する判決として効力が生じてしまい、それを覆すには、再審請求によらなければならなくなってしまうのです。

 しかも、この人違い判決、過去に実際にあり、その効力が争われて判例にまでなっているんです。

 この人違い判決ですが、普通は起きないのですが、組織の親分や兄貴分を庇って身代わりとして出頭し、被告人として裁判を受けているような特殊な場合に起こります。
 
 このような身代わり事案では、身代わりとなった者は出所後に多額の報酬を約束されている場合もあり、誰も身代わりに気付かないまま、真犯人は何の罪も負わずに逃げ切れてしまうということも多々あるのですが、仮に手続の途中で身代わりが発覚しても
、証拠が散逸してしまうなどして、真犯人を有罪にできなくなってしまったり、真犯人について公訴時効が成立してしまい、起訴できなくなってしまったりして、いずれにせよ真犯人が罪を負わずに済んでしまうことが起こりえます。

 ちなみに、身代わりであることが発覚し、身代わりに対する判決が再審で無罪となったとしても、真犯人を逃がす目的で身代わりになった者は、公訴時効が成立していない限り、犯人隠避罪証拠隠滅罪に問われることになるので、あしからず・・・
 
 
◇次回予告

 次回は、人定質問以降の流れを簡単に説明し、被告人及び弁護人の被告事件についての陳述(いわゆる罪状認否)の説明をさせていただきたいと思います


 本日も最後まで読んでいただき、ありがとうございましたm(__)m 
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