TRIANGLE -78ページ目
曖昧に笑って
落書きだらけの世界は
汚く線が増えていった
「もしもの話だ、」
そう言って笑う君の顔が
ぐちゃぐちゃに塗り潰されて
真っ黒になってしまったから
見えないんだ。
思い出せもしない。
それで良いなんて
思ってないのに
どうしても
真直ぐには見れない
歪みきった世界鏡像の中
耳を塞いでしまえば
戯言からは逃げれられるのに
どうしたって
君だけは其処に居るんだ
「例えば、」
小さくなる背中
押し潰されて
立ち上がれない
僕はちっぽけで
なんと貧弱なものか
分かってるのに、
知ってるのに、
また君は笑う
何時だって
君の顔が見れなくて
また曖昧に笑う
どうして君は笑うの?
僕には届かない、
その顔で。
「もしもの話、」
ぽつりと呟いて
やっぱり空なんか飛べなくて
落ちてった言葉が
両手を広げて、
目を開いて
増えていく落書き。
それでも僕は
君を思いだそうとするんだろうなぁ、
きっと、そうなんだろうね。
静かに振り返る
手を振る誰か顔を
霞みがかった嘘で眺めて
必要に迫られ書き殴った
遺書は皺だらけになった
君が笑うだけで
それだけ良かった
その為に並べた
大切な物を振り翳して
君に問いかけた
「幸せですか?」の一言も
気付けば其処らに転がって
弱いままの僕は
それから視線を逸らした
幸せですか?
代わりに問いかけられた
その答えを
僕は持っていなくて
君が泣きそうに顔を歪める
それが苦しくて
何度も繰り返す
罪と罰の羅列に
感情は追い付けず
「そんな顔しないで、
そんな顔させる僕なんか
消えてしまえばいい」
そう言って呼吸を止めて
詰め込んだ息を
もう思い出したくはなくて
君の幸せに為だけに
身を投げたかったのに
汚く散らばったままの
遺書と贖罪の残骸を
君は一つ一つ拾い上げて
差し出すその手は
あまりに綺麗で
触れられなかった
目を背けてしまった
それでも君は
僕の手を握って
掌に落とした言葉が
僕の事を許してくれている気がした
さようなら、
その一言が
夢を食い千切っていく
僕のせいじゃないですよって
言い出す事も出来ず
また明日、
そんな事言える訳なくて
逸らした視線の中に
滲み出した感情を
伝える事はしないけど
さようなら、
貴方とはお別れです
丁寧に区切られた
本当のところ
知りたくなくて
苦しいのは分かっていて
でも心一つ折り曲げて
貴方に渡すには
あまりに自分勝手な事だから
言わないままで
知らないふり見ないふり、
飽きるまで続けようか
あまりに悲しいけど
棄ててしまえば
きっと簡単だから
いっそ死んでしまえたら
楽になれるだろうけど
逃げることだって
出来るのだから
『さようなら』
嫌いな事も全部
一思いに投げ出して
それで良いんだよって
言ってほしいだけなんだけど
許して下さい
それほどまでに
私の心が歪み始めているから
許して下さい
本当は泣き出したい程に
心が軋んでいるから
言いたい事を
言わせて下さい
それだけで私は
もう少しだけでも頑張れるから
忘れかけた思い出に
触れた温度が泣いた
突き抜けた蒼穹も
吐き出した嘘に紛れて
離れた指先が悲しく呟く
誰も動かないんだ
揺れている草木も
どうして泣いてるのか
何度も繰り返しては
此処に居る事実を
誰も分かっちゃいないんだ
きっと寂しがりの空は
何時だって呼んでいる
踏み締めた地面
忘れかけた心も
拙い嘘に騙されて
「君が良いって言ったから、」
夜が明ける度に
弧を描いた虹の中で
君を見失った
また見えなくなって
君に追い付いて
僕は何を得られた?
傷付いてはまた擦り剥いて
振り切って、
それはきっと答えじゃない
この声は
忘れた二人の証
間違っていても
それで良いんだ
どれだ け悲しくても
忘れても
それで。
爪を噛んで
千切る様に
指を切った
其れは、
誰の為?
綺麗な歌は
貼り付いた白雨
踏み出した足は
鉛の様に思く
真白に光った
一つの灯りすら
今は遠く、
嗚呼、憂鬱だ。
静かに呟いて
煙は上へ昇る
大人に成れないのは
誰だったのか
響いた音は
乖離していく意識の様
ささやかな思い出も
玩具の積木に良く似ていて
均衡なんて
簡単に崩れてしまった
「その笑みを崩すのは
とても簡単なんだ、」
指先一つで弾いて
ほら、指を切って
優しい約束は
千切られた
厄介な程
温かな言葉は
思い出すのが容易く
また誰かの為と
選んだ道は
曇天の暗がりに良く 似ていた
それは、とても。

