部長島耕作 6
今巻はいつものシビアなビジネスの世界というよりも渡世の世界。切った張ったの世界が多めで途中ページをめくりながら「あれ?これ静かなるドンやっけ?」と思った。まず壮絶なる最後を遂げた大御所演歌歌手八ツ橋新子の関西の後援会会長との折衝。これが最後のお金の取れるチャンスと踏んでか組長自らが因縁をつけにきた。島耕作が言うようにあの時に秘書の高市千鶴の面目躍如の大見得とそのあとの組織を使った新子の遺体の捜索が出来てなかったらどうなっていたことか。遺体を誘拐して身代金を取るなんて発想けつの毛まで毟る取るヤクザならではの発想だ。おそろし。そしてその次は島耕作を直接狙ったハニートラップ。相手が強引に睡眠薬飲ませたり病院でニセの診断書用意したりかなり用意周到でもはやトラップというよりただの犯罪だった。だがこれもチャコのママのお陰で秒殺で火消しに成功した。というかチャコのママピンときて大学の理学部に直接ワイングラス持ち込んで科学捜査まで済ましてるなんてどこまで機転が利くねん、やってることほぼ刑事やん。ほぼ杉下右京やん。昨日の夜中に勃発した事件、その日のうちに解決までもっていく敏腕ぶり。そして事件を裏で糸を引いていた瀬波との直接対決の構図もいよいよ。ただたぶんこれもやがては島耕作が勝利を収める気がする。そのフリに気づいた。あっと驚くどんでん返しが待ってるはずだ。楽しみ。あと久しぶりに登場した1人娘の奈美がすっかり大きくなって20歳になっていた。もうそんなに時間が経ったのかと親戚のおじさん気分を味わった。もともとは島耕作がサンライトレコードに来た理由は社内のリストラを断行することだったわけでそれもいよいよ完了の目処が立ってきた。置き土産にナンシーを売り込んで大ヒットを記録し堂々と本社に凱旋を飾りそうな予感。今(いま)島耕作。大(だい)島耕作とのちに言われそうな、天下を取る運が巡ってきている。あと巻頭言で弘兼先生はやはりシルバー向けエンタメを狙って描いてるとおっしゃってた。これが2000年頃らしい。先見の明えげつな。