改めて、今年のジャパンカップを振り返ってみたいと思います
アーモンドアイが驚異的なレコードタイムで制しました。比較として、歴代のJCレコード時のラップタイムを記しましたので、ご覧ください

開催年 テン3F-4F-5F-中間2F-上り5F-4F-3F 走破時計 勝ち馬(国)
1989年 35.6-47.0-58.5-24.0-59.7-48.1-36.4 2.22.2 ホーリックス(NZ)
2005年 34.746.558.3-23.9-59.9-48.1-36.3 2.22.1 アルカセット(ENG)
2018年 35.9-48.2-59.9-23.557.245.834.4 2.20.6 アーモンドアイ(JPN)

まず、レコードタイムが出るときの条件としてパッと思いつくのは

1.飛ばしたい逃げ馬がいる
2.多頭数である
3.当然、良馬場である

こんな感じかと思います過去2度のレコードを計時した時は3つとも条件が揃ってましたところが今回は1は当てはまらないし、2も3つの中では一番頭数が少ないし、とそんなにレコードが出現揃ってないにもかかわらず、出た時計ということで、よけいに衝撃度は大きかったように思います
通常、レースの流れは最初の1ハロン目はゆっくりで、2ハロン目で一気に上がって一番速いラップになることが多く、ハイペースの場合は、そのままその後2ハロンぐらいは速めで展開。そして、中間で緩んで、再度残り4ハロンぐらいからペースアップという流れで進みます。
3つを比較すると、1989年と2005年はよく似たラップを刻んでます特に2005年はタップダンスシチーが豪快に飛ばしたためにもたらされたレコードで、彼には助演男優賞を上げたいですね(笑)。ちなみに赤字で書いたところは3つの中で一番速いラップですが、前半は2005年が一番速いです。1989年もイブンベイという海外の快速馬がいましたので、それに引っ張られて出たレコードという印象が強いです
ところが今年は確たる逃げ馬もおらず、キセキが行くのではないか?と思って、その通りに逃げましたが、5ハロン通過は59.9。通常、これでは2分23~24秒台の決着というのが妥当なところでしょう川田騎手としてもスローに落としたくないと思ってたようですが、昔と違ってこれで速いほうなのかもしれません2018年のラップは後半がべらぼうに速い!
過去の2つは完全な前傾ラップですが、今年は後半が2.7秒も速い後傾ラップ。逃げたキセキはアーモンドアイがいなければ、完璧な逃げ切りだったでしょう。それを打ち砕いたアーモンドアイは末脚の破壊力はすごいですね。自力で叩きだしたレコードと言えます
血統評論家のMJこと望田潤さんの言葉を借りますと、「また、これだけ時計が速いと追走能力で振り落とされていくので、12Fが最も得意という馬は4角でHyperionを振り絞れるポジションにいられないし、追走で疲弊してしまうという面もあったでしょう。だから2400ベストの馬よりも、秋華賞や秋天や大阪杯で勝ち負けできる2000>2400の馬のゾーンのレースでもあったかと(私もシュヴァルグランがスーパークリークに見えました…)」(望田潤ブログ「血は水よりも濃し」より引用)
なるほど、2400という距離ではあるけれど、実際はそれより短い距離に適性のある馬に向いた馬場、レースだったと。ステイヤーは追走に手一杯で、直線を向く頃にはお釣りがなかったのでしょう。前に行けるスピードこそが必要なレースだったのだと思います。
そういう意味で、アーモンドアイにとってはバッチリな馬場だったのだと思います[emoji:e-287]でも、見た目の時計でインパクトを与えるのはその時だけで、長い目で見たら馬の脚にとっては良くないはず[emoji:e-260]今月のキャロ会報で、小島友実さんの「最新馬場事情」が書かれてましたが、いくらエクイターフの芝やエアレーションでシャッタリングをしたところで、これだけ速い馬場になっていては意味がないように思います[emoji:e-258]
これだけのスターホースが出るのはシルクにとっても特別なことですが、JRAにとっても大きい存在のはず[emoji:e-349]そんな馬には、一日でも長く現役生活を続けてくれることが大事なのではないでしょうか?[emoji:e-441]それを高速馬場で壊してしまってはあまりにもったいないと思うし、馬に優しい馬場を作ることが海外で通用すること(特に欧州)につながるはずですので、よく考えてほしいですね[emoji:e-442]ジャパンカップにしても、高速馬場こそが海外馬を遠ざける理由の一つだと早く気づかないといけないと思います[emoji:e-455]

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アーモンドアイはもうシルクだけの馬ではなくなってしまいました![emoji:e-451]