大好きなあすかちゃんへ | いつか死ねるから僕らは笑う

いつか死ねるから僕らは笑う

質の低い人間です。
応用が出来ない人間です。
本当は今すぐ死ぬべき人間です。
今夜、死ねるかな。

僕は今まで、あすかちゃんを怖がらせたり、がっかりさせたりしてばかりだったよね。

 

男性に対する怖さ。

そこに気付いて安心させてあげることをしてこなかった。

音楽のレベルを悪く言われないかという怖さ。

そこに気付いて目線を合わせてあげることをしてこなかった。

挙句の果てに先生との約束のために一人で帰らせちゃって。

そして先生から独立した途端、執拗にもたれ掛かられて。

 

僕、あすかちゃんの気持ちを何も分かっていなかった。

 

東京から帰ってきて久しぶりにゆっくり電話した。

先々月にも電話したけど、その時は少し傷つけちゃったなと。

それからひと月の間、ずっと後悔していた。

本気で好きになっていたから、ようやく僕の中できちんと受け止める態勢が出来た。

僕が思っていたよりずっと、僕のことを怖がっていたのだなと気付いた。

 

18歳の頃に親友とやりとりしていたメールを振り返った。

僕はずっと未熟なままなんだ。

僕は男だから、正直に言うと、みだらなことも楽しく考えて、軽いことを言ってしまう。

負けず嫌いだから、音楽のことも難しく考えて、それをそのまま相手にぶつけてしまう。

ただでさえ女性として僕のことを警戒していたところを、さらに考えなしに怖がらせてしまってきた。

あすかちゃんにバイト先で告白する、バイト先で告白の手紙を渡す、メールや電話で告白するなど、どれだけ自分本位な考えだったのか、今思うとゾッとする。

 

あすかちゃんが午後や土日に他の男性と会っているのかもしれない。

付き合う前も付き合ってからも、男としてその疑念は晴れない。

それが辛いという僕の独占欲を、告白したとしてもあすかちゃんは分かってくれないだろう。

それを分かってもらおうとは思わない。

仮に会っているとして、その男性と比べて僕を卑下するようなことは絶対にしない子だと確信した。

あすかちゃんには何の悪気もない。

僕が何年も待たせた結果でもある。

あすかちゃんを好きでいる以上、僕はその疑念を心を殺して受け入れなければならない。

 

会う日、僕はあすかちゃんに告白することも考えている。

ただ、それは僕にとって意味があってはならない。

僕からの欲望の押し付けであってはならない。

あすかちゃんにとって、確実に幸せの一つでなければ。

告白の言葉にそう意味があってはならない。

冷やかしではない、自分の本物の価値を認めてもらえた自己肯定感。

これから真剣に大切にしてもらえるという安心感。

それをささやかに伝えられたら。

それが出来ないのであれば、今の段階で告白などしないほうが良い。

 

そしてそれ以上に、普段の何気ないやりとりで。

自分が好きなことを分かってもらえることでの自己肯定感。

僕がさらけ出す弱みを見ての安心感。

まずは明日の電話で、そういったことを大切にしなければ。

そしてきっと5年10年かけて、ゆっくりと心の氷を解かしていくことが大切なのだろう。

 

男性として、音楽経験者としての頼り甲斐や強さも必要だろう。

ただあすかちゃんに関しては、まずはとにかく優しく安心させてあげることのほうが大事だろう。

 

女性の幸せを考えるなど、男にとっては我慢の連続だ。

でもそれが恋愛の醍醐味だと。

松田の言葉が今になって身に沁みる。

 

自分の良いところを信じて、あすかちゃんらしく音楽を作ってほしいな。

いつでも味方だからね。

どこかのお兄さんみたいだけど、ここまでの発言に留めたほうが良いかな。

 

でも素直に言っても良いのかな。

駅のホームでの表情と空気で決めようかな。

 

それとね、僕、あすかちゃんが好きだよ。

あすかちゃんとずっと一緒にいたい。

頼りない僕だけど、真剣に大事にするから、付き合って。