○20世紀後半の書店で、生まれてはじめて語学雑誌コーナーに立ち寄った中学生や高校生はNHKのロシア語講座のテキストブックを見ると必ず驚愕した。ロシア語講座の先生の名前が「江川卓」なのである。
○この人が読売ジャイアンツの投手であった江川卓（えがわ・すぐる）氏と同姓同名の別人だと気づくまで「あの江川がロシア語の先生？」と、しばらく理解不能な状況に陥った。
○なお、NHKロシア語講座の先生の名前である「江川卓」氏の読み名は、「えがわ・たく」氏である。
○世の中には同様の同姓同名の方がたくさんいる。中には同じ漢字表記なだけでなく読みも同じという方もいる。
○世界的に有名な例が、マイケル・ジャクソン氏。著名なミュージシャンと同姓同名であるビール評論家で、ミュージシャンのほうが King of Pop と呼ばれていたのに対し、彼は生前、ジョークとしてではあるが自分のことを King of Hop と称していた。
○浦和レッズには田中達也選手が二人いた。一人は2001年に入団して2012年に退団した田中達也選手、もう一人は2021年に入団して同年に退団した田中達也選手。
○さらに調べると、ヱヴァンゲリオンの原画を務めたアニメーター、ミニチュア写真家、そして作曲家の田中達也さんという計5名の田中達也さんのWikipediaページが存在した。
○浦和レッズ絡みで言うと、日本を初めてワールドカップに導いた選手でもある岡野雅行選手と同姓同名の実業家の方がいる。実業家の岡野雅行氏は著作も多く残していることから、新聞に岡野雅行氏が登場する場合、サッカー選手のほうの岡野雅行氏ではなく、実業家の岡野雅行氏のほうが多くなる。
○スポーツ選手絡みで言うと、サッカーの本田圭佑選手と同姓同名の本田圭佑選手が埼玉西武ライオンズに所属している。一時期、サッカーの本田選手にあわせて西武ライオンズの本田圭佑選手の背番号を45から4に変更しようという話が出ていたが、その話は立ち消えになったようで、西武の本田選手は今年も背番号45のままである。
○野球界ではもっとややこしい例があり、読売ジャイアンツには二人の坂本勇人選手がいる。一人は内野手の坂本勇人選手で、もう一人は捕手の坂本勇人選手。二人揃って試合に出場したらスコアボードをどう表示させるべきかという議論があった末、通常は苗字のみを表示するスコアボードに、内野手の坂本選手は「坂本勇人」とフルネーム、捕手の坂本勇人選手は「坂本勇」と名前の一文字のみを表記することで決まった。なお、本記事投稿時点ではまだ実現していない。
○ジャイアンツではまだ実現していない同姓同名の選手のスコアボード表記が実現してしまったのが、かつて日本ハムファイターズに所属していた二人の田中幸雄選手。一人は投手で一人は内野手。この二人については、投手のほうが「田中幸」、野手のほうが「田中雄」と表示することで対処した。
○歴史上の人物として紛らわしくて困ったのが、「源信」。平安時代叢書第三集「中納言良房」、第四集「応天門燃ゆ」において、藤原良房の右腕となって活躍していた貴族は「みなもと の まこと」、第十集「源氏物語の時代」、第十一集「欠けたる望月」に登場した僧侶は「げんしん」。平安時代の論文を検索すると、この両者が否応なく混在して現れる。
○今のところ日本最強と思われる同姓同名は「田中宏和」。何が最強かというと、日本全国から同姓同名の田中宏和さんに呼びかけをしているのである。同姓同名の世界記録マーサ・スチュアートさんを超えるべく呼びかけをしており、現在のところ166名の田中宏和さんからギネス記録チャレンジを前提とした同姓同名運動への参加の同意を得ている。
○ところで、私の名前と同姓同名はいないとは思うが、私の作ったマンガのキャラクターと同姓同名の方がいるのは知っている。知っているというか、指摘があった。
○ちなみに越後せいかさんは、同姓同名ではなく越後製菓株式会社様承諾済のキャラクターです。その際の経緯はこちら→「報告（2013年10月30日公開）」
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