木の寿命は無限?
  まず、動物の寿命を考えてみます。
動物の寿命でよく言われるものは、細胞分裂の回数制限が挙げられるのではないでしょうか?多くの部分の細胞分裂の回数が決まっており、それによって寿命が決まってくるというものです。テロメアという細胞分裂に必要な部分が、細胞分裂のたびに短くなっていくためとされています。
  植物の場合は、細胞分裂の回数制限があるのでしょうか?植物は、多くの成長の起点を持っていたり、常に形成層(年輪成長で新しくできる部分)ができたりしますので、細胞分裂の回数制限がないとされる。植物はテロメアが短くなるのが修復されていくらしいです。
そのため、植物は、生理的には寿命は無限と考える方もいます。
 また、そうとしたうえで樹木の高齢に従い有害物質が蓄積されたり、突然変異する細胞が蓄積されたりで生存を脅かす原因を作っていって、やがては寿命を迎える、とうい考えの方もいます。

木のサイズと寿命の関係
  木の大きさの問題も挙げられます。
木は年々大きくなっていきます。そのうち水がそれ以上に上げられない高さになるとか、枝がそれ以上に伸ばせない長さになるとかの問題が出てきます。水が挙げられないならそれ以上大きくなれないし、枝が伸ばせないならそれ以上幅を広げることはできません。木が大きくなれないということは、光を受ける量が増えて行かない、つまり光合成の量が増えていかないことを意味します。


(野間の大ケヤキ=大阪府能勢町のある天然記念物。西の横綱と言われる)
  一方で木の年輪は多かれ少なかれ必ず刻まれます。年輪を刻むごとに体が太くなっていきます。養う体の大きさが増えてきます。養う量が増えるのに光合成が増えないと成り立っていきません。大きな体に十分な栄養やエネルギーが行き届かなくなり、やがては衰退していきます。
これが樹木の寿命ということになります。
 私自身は、樹木の寿命を答えるときは、このように説明します。また、こういうことを思いながら木の治療やメンテをしています。

 ここまで、生理的な視点から樹木の寿命を考えていきました。ところが、生理的な原因で寿命を迎える木は少ないと思います。


 (続く)