野球の世界では高卒でドラフトなどのチャンスがある。でも高校吹奏楽部からプロにつながる道がないのは教育の質が悪いからだ、そんな意見を読みました。それでは、プロになるのってどれくらい時間がかかるものなの?
こんばんは。
トロンボーン吹きで作編曲家、吹奏楽指導者の福見吉朗です。
スポーツの世界では…
プロになるのにだいたいどれくらいの年月が必要なのか、ということなのですが、
これ、調べようがないのでAIに訊いてみました。
たとえば野球の場合だと…
小・中学校から始めて、高卒または大卒でプロ入り。
プロ入りするまでにだいたい10年~15年の競技経験が必要なのだそうです。
そしてこれ、プロになる人は早い段階から野球に特化する人が多い。
育成選手として入団すると、原則3年で一軍または二軍への登録をめざします。
ドラフト指名される確率って…、0.16%!
話題になるから華々しく見えますが、ほんの、ほんのわずかな頂点の人たちなのですね…
そして、プロになったからって成功するとは限らない…
サッカーも調べてみました。
幼少期から競技を始めて、高卒または大卒で入団。
それまでに必要な競技経験は、やっぱり10~15年。
アカデミーからプロ入りするのが一般的なのだそうです。
そして、プロで活躍できるのは平均6~8年ぐらい、20代で引退する選手も少なくない…
音楽の世界では…
それでは音楽の世界はどうなのかというと…
クラシック、ピアノやバイオリンだと、幼少期から始めて音大を出てプロになる。
15~20年。
スポーツより時間がかかるのですね…
管楽器の場合でも、10~15年かかる。
中学から始めた場合、高校、大学で、10年。
それがおそらく最短コースなのでしょうね。
しかも、たとえばオーケストラの管楽器なんて募集は少なくて、超狭き門…
たとえばトロンボーンのイスって、全国に100はないでしょ。
高校卒業でいきなりプロへの道が開けるなんて、そんなのやっぱり無茶な話だと思うのです。
プロになると…
管楽器、たとえばプロのオーケストラで演奏しようと思ったら、何が出来る必要があるのか…
これは、団員ばかりではなくエキストラも含めた話ですが…
当たり前ですが、残念ながらただ楽器が上手いだけではダメです。
たとえばオーケストラのオーディションでは、ソロ曲だけではなくオケスタも課されますよね。
いい音で、正確なリズムと音程で楽譜通りに吹けるか、ではなくて(これは出来て当たり前)、
その曲のことをちゃんとわかって吹いているかどうか、だと思うのです。
オーケストラって、せいぜい本番前に多くても3日くらいしかリハーサルはありません。
それだけで仕上げなくてはならない。
もうリハーサル初日から、音楽になっているくらいじゃないと務まらないのです。
そのためには、その音楽についてひとりひとりがもう『持って』いないと出来ない…
大変でしょ。
要求されること
限られた時間で音楽をつくらなければならないので、譜読みの要領の良さ、
なんならちょっとした曲なら初見で音楽に出来ちゃうくらいの能力は求められます。
スタジオなんか、ほぼ初見でしょ。あらかじめ楽譜がもらえるなんて聞いたことないです。
(オーケストラだと練習譜がもらえるところが多いです)
これってね、音大生でもなかなか出来ないですよね(肌感覚的には)。
「おいおいこのくらい初見でこなしてくれよな」って思ったことあります…
それに加えて、アンサンブルや合奏の勘、音楽性や音楽の素養、たとえば…
今奏でているのがどんなハーモニーなのか、わからないで音を出してる人なんていない。
初めての曲だって当然たくさんある。
スコアを見て音楽を把握したり、時代や作曲家によるスタイルの違いをわかっていたり…
音大生でも大変なのに、高校の吹奏楽部を出たばかりの子がこんなこと、出来るわけない…
そんなふうに思うのです。
もう中高の6年間の、しかも限られた時間の中で出来ることではないんですね。
学校吹奏楽部の
今、プロで活躍されている管楽器奏者さんのほとんどは、
吹奏楽部で楽器や音楽に出会った人たちですよね。
学校吹奏楽がなかったら、楽器に出会うこともなかったしプロになることもなかった…
学校吹奏楽で楽器と出会って、プロを目指した人たちなのです。きっとほとんどはね。
それ以外で管楽器を始めるきっかけやチャンスって、とっても少ないと思うのです。
誰でも望めば気軽に楽器と出会えて、合奏できる、吹奏楽部って、そんな場所。
その門は、どんな子どもたちにも開いている。
そんな場所を、未来の子どもたちにも残す、これこそが、いちばん大切なことだと思うのです。
たとえ地域移行しようとも、いや、地域移行したら機会が減るようではいけないと思うのです。
でもそれはもちろん、プロを育てるためにあるわけではない。
人生がそれで少しでも豊かになってくれたら、それがいちばんですよね。
そこで、結果的にプロになる人もいるというだけの話なのです。
さて、みなさんは、管楽器は高卒でプロへの道がないのはシステムが悪いせいだと思われますか。
