みなさんはレッスンや指導で息のスピードを言われたことはありませんか。この言葉、もしかしたら吹奏楽指導の現場でたくさん使われているかもしれないですね。さて、では息のスピードとはいったい何なのでしょうか。
こんばんは。
トロンボーン吹きで作編曲家、吹奏楽指導者の福見吉朗です。
管楽器は
もちろん管楽器って、息、つまり空気の流れを使って音を作り出す楽器です。
日本語では『管楽器』ですが、英語では『Wind instruments』、
つまり『風の楽器』ですね。
空気が流れて音が出る、空気の流れが大切なのです。これはきっと真実。
「息のスピード」についての指示も、きっとここから来ているのだとは思うのですが、
さて、ではその指示、はたして的を得ているのかといったら…
むしろそうではないことが多いのではないでしょうか。
- もっと息のスピードを…
- 息のスピードを合わせて…
みなさんはどう思われますか。その指示、理解納得できますか。
また、ほんとうにわかって指示していますか。
息のスピードの事実?
弱い音よりも強い音の方が、息(空気)はたくさん必要?
これはきっと、検証するまでもなく正しいように思うのです。
フォルテよりピアノの方が、長く伸ばせますよね。
なら、息(空気)の量は音の大きさに完全に正比例するのかといったら…
これは、そうとは限らないですよね(たとえばサブトーンとか…)。
次に、低い音よりも高い音の方が、息(空気)のスピードは速い?
これもよく言われることですね。オクターブ上がれば息のスピードは2倍になるんだ、って…
正しいのかもしれませんが、でも…
高い音で、正直な実感としては、「そんなにスピード上がってるのかなぁ…」と…
あんまり実感として感じないのですよね…
低い音、たとえばペダルトーンなんか息がすごくゆっくりなのか…
これも実感としては、あまりない…
もちろん、『実感』と『実際』って必ずしも一致しないものですけどね…(ここポイント)
余談
ちょっとだけ余談…
高音を出すのは息(空気)のスピードか、それとも息(空気)の圧力か…
そんな論争?って時々あると思うのですが…
たしかに高音では圧力も高まっているように思います。
でも、圧力が高まっているのだとしたら、スピードも上がってる?
ただし、高い音の方が空気の量自体は少なくて済みますよね。低音よりはね。
低音は、空気がたくさん必要。でも圧力は低い。
ということは、スピードはゆっくり?
思うのですが、金管楽器で低音のスペシャリストは…
ホルンの下吹きさんだと思うのですよ。
だって、あんな小さなマウスピースであんな低音を出すのですよ!
いったいどうなっているの!?
弊害
さて、吹奏楽界でおそらくたくさんされているであろう「息のスピード」についての指示、
これが弊害になったのであろう例を、これまでいくつも見てきました。
音が響かない生徒にやみくもに、「もっと息のスピードを上げて」という指示をする…
それを実行した生徒が、くちびるの反応が悪くなってますます鳴らなくなってしまった…
そこまで行かなくても、力で息を押し込もうとして力んでいる生徒をたくさん見てきました。
とにかく鳴らすために「もっと息のスピードを上げて」、「息を入れて」と指示されて、
それを信じて吹き続けて何年かしてつぶれてしまった…
そんな子もいました。
「息のスピード」についての指示が弊害をもたらす、これ、少なくないように思います。
少なくとも、無理矢理に息を押し込んで、楽器から響きの豊かな音が出ることはないです。
豊かな音で演奏する人は、『自然な』息、空気で吹いています。
これは真実。
根拠のない指示
では具体的に、「息のスピード」がどんなふうに指示として使われているのでしょうか。
「息のスピードをそろえて!」
これ、なにをしたかったのでしょう…。
音のスピード感をそろえたかったのかな?
それとも音の発音をそろえたかったのかな?
あるいは音の出だしをはっきりさせたかった?
なら、そう言えばいいと思うのです。
「息のスピードを速く!」
これは、なにをしたかったのでしょう…。
もっと鳴らしたかったのかな?
はっきりした音にしたかったのかな?(これは多くは発音の問題)
遠達性のある(遠くまで響く)音にしたかったのかな?(ならもしかして逆効果かも…)
スピード感のある音にしたかったのかな?(これも発音によるところが大きいのかも…)
なにしろ、観察と分析が足りてない、出来てないときの手っ取り早い一見便利に見える安易な言葉…
それがもしかしたら、「息のスピード」なのかもしれません。
さて、みなさんは「息のスピード」を指示されてちゃんと理解できましたか。
また、ちゃんとわかって指示していますか。
あわせて読みたい…

