誰かを切り捨てた金賞なんて… | フクロウのひとりごと

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愛知県在住のトロンボーン吹き、作編曲家、吹奏楽指導者。
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いろいろな考え方があるのかもしれませんが…、みなさんは、出来ない人を切り捨てなければコンクールでいい成績は取れないものだと思われますか。また、いい成績のためには切り捨ては仕方ないことだと思われますか。

こんばんは。
トロンボーン吹きで作編曲家、吹奏楽指導者の福見吉朗です。

 


 

 

  この子には吹きマネをさせます

 

あれはまだ大学を卒業したばかりの頃だったように思います。
ある夏に、とある中学校の吹奏楽部に指導に行ったのです。
ぼくはトロンボーンパートの曲レッスンをしていました。
ある部分を合わせていたとき、横で聞かれていた顧問の先生が、こんなふうに言われたのです…
「この部分、この子は音が合いませんから吹きマネをさせますので」…
えっ!? と思いました。
その子のいる横で、さらっと言われたので、あまりに一瞬でびっくりして…
なんにも言えませんでした…
 

 

  普通のことなの?

 

これ、人によっては『べつに普通のことじゃないですか』って言われるかもしれませんね。
みなさんは、どう思われますか。当然のことだと思われますか。でも…
まだコンクールまでは日があるのですよ。
合うようになる、そういう響きのある音になるのだって課題だと思うのです。
自分の前にある課題をクリアする、それだって、大切なことだと思うのです。
早々にあきらめて切り捨ててしまうのって、どうなのだろう…
みなさんの吹奏楽部ではどうですか。やっぱり切り捨てますか。

アンケートで訊いてみました。

 

 

思った以上に多くの人が経験あるのですね…
 

 

  金賞を取るためには…

 

金賞を、いい賞を取るためには、選抜することだって必要だし、出来ない人を外すことだって…
そうかもしれません。
「人数を削ってでも音程を合わせることを優先して」
なんて言われることもありますよね。
音程を合わせるために、人数を削るのでしょうか。
人数を削れば、ほんとうに合うようになるのでしょうか。
なんのために合わせるのでしょうか。金賞を取るため?
それとも、いい演奏をするためでしょうか。
この違いって、じつはとても大きいように思うのですよ。
 

 

  工夫?それとも姑息な手段?

 

合わないところを合うようにするために…
出来ないところを出来るようにするために…
いろいろな『工夫』をすることって、あるかもしれません。
なかには、音を変えるとか、人数を減らすとか、分担奏にするとか…
たとえばTuttiで、合わない音を別の音に変えたって、今度はその音が合わなくなるだけです。
人数を減らすのだって、どんな目的でそうするのかが問題だと思うのです。
合わないから? それとも、1本ずつの純粋な響きが欲しいから?
分担奏は、どうしても出来ないのなら仕方がないですよね。
でもそれだって、すぐにそこに逃げるのではなく、それは最後の手段としたい。
音が合わないからヴィブラートをかけたい?
そんなの、ますます合わなくなってしまいますよ!
 

 

  なんのために

 

これだって考え方は人それぞれですが…
なんのために、コンクールに出ますか?
いい賞を取って実績やネームバリューにするため?
学校やバンドの名誉のため?
進学の内申に書いてもらうため?
それとも…
メンバーひとりひとりやバンドの成長のためでしょうか。
その子に与えられた楽譜に書いてある音は、その子に与えられたものです。
だから、そう簡単に切ってしまいたくはない…
そこでなにか課題にぶつかったとしても、それをクリアし乗り越えるのだって、コンクール。
誰かを切り捨てなければ取れないような金賞なら要らない…
甘いと言われるかもしれませんが、ぼくはそんなふうに思うのです。

さて、みなさんは、金賞のためなら切り捨ても必要だと思われますか。