絶対音感の誤解 | フクロウのひとりごと

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みなさんは、絶対音感というものに対してどんなイメージを持っていますか。それはどんなものだと思っていますか。絶対音感に対して多くの人が誤解していること、けっこうあると思うのです。さて、それはどんなこと?

こんばんは。
トロンボーン吹きで作編曲家、吹奏楽指導者の福見吉朗です。

 


 

 

  絶対音感のイメージ

 

絶対音感とはなんでしょうか。
それは、ひとつの音を聞いて、それがなんの音なのかをわかる能力ですよね。
たとえば地図でいったら、その場所の緯度と経度が正確にわかるような感じなのでしょうね。
そして、世の中の多くの人が絶対音感に対して持っているイメージは…

  • 耳がいい
  • 英才教育
  • 音楽的能力が高い

そんなところなのではないでしょうか。
さて、耳がいいイコール絶対音感?
絶対音感イコール音楽的能力?
ほんとうに?
 

 

  『音感=絶対音感』なの?

 

たとえば、合奏していてどこかの音が違うことを聞き分けたりすると…
「耳がいいんだね、絶対音感なの?」
そんな反応が返ってきたりします。
音感って、絶対音感しかないのでしょうか。それがいちばん優れた音感なのでしょうか。
これ、答えは『いいえ』です。
絶対音感に対して、『相対音感』というものがあります。
これも、立派な音感です。
それはどういうものなのかというと…
たとえば地図でいったら、複数の場所の位置関係や距離感がわかる感じでしょうか。
(絶対音感だけでは複数の場所の相対位置や距離感はわからないのです)
そして、相対音感は大人になってからでも訓練次第で鍛えることが出来るのです。
 

 

  絶対音感だから耳コピできる?

 

耳コピをするのには絶対音感が必要なのでしょうか。
絶対音感だから、耳コピできるのでしょうか。
これの答えも、『いいえ』です。
絶対音感だから有利、ということもありません。
(完全無調の超現代曲は別として…)
調性のある音楽(つまりほとんどの音楽)なら、相対音感で耳コピできます。
絶対音感に劣りません。というか…
耳コピにいちばん必要なものって、音感ではありません(音感も必要ですけどね)。
このあたりのお話は、以前こちらに書きましたね…

 

 

 

  絶対音感には音痴はいない?

 

絶対音感は耳がいい、だから音痴なんていない?
これの答えも、『いいえ』なのです。
書いてしまいますが…
以前教えた生徒に、ものすごい絶対音感の子がいました。
どんなふうにすごいのかというと…
たとえばAの音があったとします。その子は、それはAだとわかるばかりではなく、
「442.5ヘルツのAです」というレベルでわかるほどの絶対音感なのです。人間チューナー!
ところが、音程がね、あまり良くないのですよ。なので…
たとえばレッスンしていて、「今のG、高いよね」なんて指摘していたのですが…
のちにわかったことですが、
これ、本人は全部わかっていたのです。なにしろ人間チューナーなのですから…
(ごめんよ書いてしまったよ)
つまりどういうことなのかというと…

その音が『わかる』ということと、その音を『出せる』ということは別の能力なのです。
絶対音感にも音痴はいるのです。
 

 

  絶対音感だから音程がわかる

 

絶対音感とは『音程がわかる』ことなのでしょうか。
これの答えも、『いいえ』です。
音程とは何でしょうか。
それは、2つの音の間の隔たりのことです。
それがわかるから、われわれは音楽を感じ取れるし、演奏したり合奏したり出来るのです。
さて、絶対音感とはどういうものでしたか?
地図でいったら、その場所の緯度経度が正確にわかる能力、でしたよね。
それは、音楽では『音高』といいます。
では、『音程』がわかるために必要な能力はなんでしょうか。
それは地図でいったら、複数の場所の位置関係や距離感がわかることですよね。

そのためには…
そう、相対音感です。
音程がわかるためには相対音感が必要なのです。
 

 

  絶対音感は演奏に役立つ?

 

さて、絶対音感は演奏や音楽に役立つのでしょうか。絶対音感は音楽的能力なのでしょうか。
役立つ場面もあるのでしょうが、答えは必ずしも『はい』ではないと思います。
では、演奏や音楽にほんとうに役立つ音感って、なんでしょうか。
それは相対音感や調性感だと思うのです。
他の音との相対的な関係がわかるから、音を合わせられたり作り出せたり出来るのでしょう。
地図だって、目的の場所までの相対的な位置関係や距離感がわかるから、そこへ行けるのです。

さて、絶対音感、あなたは誤解していませんでしたか。
 


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