楽譜をネタにしたスポーツ? | フクロウのひとりごと

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愛知県在住のトロンボーン吹き、作編曲家、吹奏楽指導者。
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しばらく前にあるところで吹奏楽コンクール自由曲について話していて、「コンクールはその楽曲の楽譜をネタにしたスポーツ」だという話になったのです。音楽というよりスポーツだ、と…。さて、どうなのでしょうか?

こんばんは。
トロンボーン吹きで作編曲家、吹奏楽指導者の福見吉朗です。

 


 

 

  コンクールって…

 

アンコンが終わったばかりですが(まだ終わっていない人もいるでしょうけど)、
コンクールって、なんでしょうか。
なにを、競ったり評価されたりするのでしょうか。
技術でしょうか、音楽でしょうか、それとも、なにかほかのもの?
アンサンブルコンテストや吹奏楽コンクールって、音楽のコンクールなのでしょうか。
これには人によっていろいろな考え方があるのでしょうけど、さて、どう思われますか。
 

 

  楽曲

 

音楽を演奏するということはどういうことなのか…
もちろん人によっていろいろな考え方や捉え方があるのでしょうけど…
吹奏楽やアンサンブルでは、楽譜に書かれた楽曲を音にしますよね。
その楽曲は、どういう背景、どういう意図、なにを伝えたりあらわしたりしたかったのか、
それを汲み取って、音にする、これが、音楽を演奏する、音楽するということだと思うのです。
もちろんそれには、いろいろな音楽の流儀や語法が出来ている、わかっていることが前提ですが…
 

 

  楽譜をネタにした…

 

吹奏楽コンクールは楽譜をネタにしたスポーツだ、という話が出たのです。
コンクールやアンコンは『音楽』ではなくて、なにか別のものを競っているのだというのです。
それはたとえば、どれだけ整っているか、どれだけそろっているか、どれだけ合っているか、
どれだけダイナミックで、どれだけ積極的で、どれだけ鳴っていて、どれだけ圧倒できるか、
そんなことを競う『スポーツ』なのだというわけです。
だから、音楽じゃないんだ、と。
たしかに、そう感じることもあるなぁ、と、ある意味共感してしまったのですが…
 

 

  コンクールは音楽なのか

 

さて、みなさんはどう思われますか。
コンクールに参加されるみなさん、みなさんがやっているのは音楽じゃないと言われたら…
もちろん、とても音楽的な、ちゃんと音楽している演奏だってコンクールにはありますよ。
そうではないものを競おうとする団体があるのだとしたら、それはなぜなのか…
手っ取り早いから、なのではないかと思うのです。
合わせたり、整えたり、ガンガン鳴らしたり…、それは、
楽曲をちゃんと分析したり研究したり音楽の流儀や語法をわきまえたりすることとくらべたら、
きっとずっと手っ取り早いことなのだと思うのです(決して簡単だとは書きませんが…)。
カレーを作ろうと思ったけどスパイスの調合が出来ないから、ただの『ごった煮』をつくる、
そんな感じでしょうか…

 


 

 

  手っ取り早いのだけど…

 

さて、ここからが、きょうの言いたいところです。
その『手っ取り早いこと』ばかりを求めているから、かえってそれが出来ないのではないか…
そんなふうに思うのです。

スパイスの調合を避けていたのでは、ほんとうのカレーは出来ないのと同じです。
『音楽』を回避して手っ取り早いことに走っていたのでは、むしろ遠回りだと感じるのです。
『手っ取り早いこと』を実現するためにも、ね。
言いたいこと、わかっていただけますか。
端的に言うと、音楽しないから合わないし鳴らないし違和感があるんだよ、ということ。
そんなふうだから、変に根性や精神性の話になるし、スポーツみたいに見えてくるのでしょう。
だから…
音楽しましょ。それが結局は、いちばん近道なのだと思うのです。

さて、吹奏楽部のみなさん、みなさんがやっているのは音楽でしょうか。それともスポーツ?