遠くに音を飛ばす? | フクロウのひとりごと

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みなさんは、「遠くに音を飛ばして」とか「ホールのいちばん後ろまで飛ばして」なんて言われたことはありませんか。ホールに音を響かせるというのはどういうことなのでしょうか。音って、飛ばすものなのでしょうか。

こんばんは。
トロンボーン吹きで作編曲家、吹奏楽指導者の福見吉朗です。

 


 

 

  痛い音

 

シアトル交響楽団の山本浩一郎さんが、こんなツイートをされていました。
 


まさに、この通りだと思うのです。
きょうのブログ終わり。

待って。もうちょっと書いてみましょうか。
 

 

  響きがさみしい

 

みなさんは、こんな経験はありませんか。
普段、練習室や教室などの容積が限られた空間で練習していて、本番で大ホールに行ったら、
なんだか空間が広くて、音が足りてない感じがする、空間が満たされてない、響きがさみしい…
ぼくはありますよ。
その空間に見合った音が出せていないのですね。

でもそれは、音の大きさとか強さとか音色ではないのです。
さて、こんなとき、どうしたらいいのでしょうね…

 

 

  音を飛ばす?

 

きっとよく言われる言い方だと思うのですが…

「遠くまで音を飛ばすように」という言い方。

さて、これ、プラスになるのでしょうか。

いろいろな経験から言うと、かえって力が入る、力みになってマイナスであることが少なくない。

むしろ響かなくなるように思うのです。

上体に力が入ったり、息を押し出していたり、息が速すぎたり…

山本さんも書かれているように、いわゆる『痛い音』になってしまうことが多いように思います。

音って、ひとつの方向にまっすぐ飛んでいくもの、ではないのです。

どんな楽器の音でも、です。
 

 

  音とはなにか

 

さて、音って、なんでしょうか。

空気の振動、ですよね。

空気はあらゆる方向にあって、われわれは、その空気に囲まれて生きています。
なので音は、空間に広がっていくものなのです。
響きが広がっていく。空間を満たす。

でも、そこでなにか意識したり作為に走ったりする必要はないのです。

意識的になにかをする必要はない。ただ…

 

 

  空間を意識に入れる

 

その空間を、意識に入れる。

広さや、壁や天井、床やイス、そういうものの質感、それを、意識に入れる。

ホールの空間をよく見て、感じる。
そうすれば、あとは自動的に、自分の身体がやってくれますよ。

ある程度の時間(数分か数十分か)はかかるかもしれませんが…

だからステージに上ったら、その空間をよく見て感じて、意識に入れる。

これが大切だったりします。

広いところで、目の前を見て吹くのと、遠くに視線を置くのとでは、響きが変わってくる。

遠くを見て意識に入れるだけで、響きは変わるのです。

そこに届けようと考えるのではなく、ただ、視線を遠くに置いて意識に入れるだけ。
あとはただ、自分の身体に任せるのですね。

さて、空間、意識に入っていますか。


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