楽譜作成ソフトの欠点いろいろ | フクロウのひとりごと

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今やほとんどの楽譜はコンピューターでつくられるといっていいと思います。そんな楽譜作成ソフト、でも欠点も少なくありません。たとえばどんなことがあるのか、その中のいくつかをきょうは書いてみたいと思います。

 

こんばんは。

トロンボーン吹きで作編曲家、吹奏楽指導者の福見吉朗です。

 

 

 

  背合わせ

 

楽譜作成ソフトといっても、今やいろいろありますね。

きょうは、その中でもシェアNo.1のソフト、finaleについて書いていきます。

でも、きょう紹介するどれも、どのソフトにもある問題だと思います。

 

まずは、冒頭の楽譜を見てください。

1段目、2段目、どっちが見やすいですか。

どっちが、音符が等間隔に見えますか。

下、ですよね。

でもね、これ、デフォルトだと上になるのですよ。

上はね、音符の『玉』は、たしかに等間隔なのです。

でも音符の向きが違うから、それでは人間の目には等間隔には見えない。

一種の錯覚ですね。

これを下の段のように等間隔に見えるようにしようと思ったら、

音符1個1個を全部手で直さなきゃならない。それが、楽譜作成ソフト。

これ、音符の背合わせといいます。老舗出版社の楽譜は、これが出来ていると思います。

 

 

  連桁の向き

 

次は、これ。

 

 

上の段と下の段、見くらべてみてください。違いはどこでしょう…

上の段、なんだか変じゃないですか。16分音符の連桁の向きが逆です。

でもこれ、finaleではデフォルトでこっちなんです!

いちいち直してやらないと、下にならない。

こんなの、急ぎの仕事なら確実に見落としてますよね…

 

 

  アーティキュレーション

 

たとえばフィナーレの場合だと、最近はアクセントはスラーを避けてくれるようになりましたが、

アーティキュレーションがスラーやタイとぶつかるなんてことは、よくあります。

最新のfinaleでも、テヌートは避けてくれません。そして、たとえばこれ…

 

 

ワルキューレですね。

どっちが見やすいですか。上の段ですか、それとも下の段?

そもそもどこが違うのか…

スタッカーティッシモが、五線の中に入っているか外にあるか、ですね。

下の方(五線の中に入っている方)が見やすいですよね。

でも、フィナーレのデフォルトは上。

デフォルト設定のまま使っていたのでは、見やすい楽譜は出来ないという例のひとつです。

 

 

  小節線

 

それから、これ。

 

 

赤とんぼ。

これは、上の段と下の段、どっちがいいですか。

なにが違うのかというと…、小節線の太さ。ちょっと極端にしてみました。

五線の線と、小節線、普通はどっちが太いと思いますか。

老舗出版社の楽譜は、小節線の方が太くなっています。その方が見やすいからです。

ところが、楽譜作成ソフトのデフォルトでは、2つの線は同じ太さ…

もっと細かい、16分音符が並んでいるような楽譜だったら、見やすさはもっと違ってくると思います。

 

 

  音符の棒

 

では、これは…

 

 

音符の棒に注目してみてください。

1小節目と2小節目、各4分音符の棒、どっちがおんなじ長さに見えますか。

1小節目の方が同じ長さに見えませんか。

ところが、楽譜作成ソフトのデフォルトは、右(2小節目)なんです。

人間の目にはどう見えるのかを考慮しなければ右なのでしょう。

でも、優れた手書きの写譜屋さんは、左のように書くといいます。

五線の間まで伸ばす棒は、間のまんなかよりもほんのちょっと長くする。

そうすると、人間の目には同じ長さに感じられる。

 

きょう紹介したのはほんの一部ですが…

なにしろ、こういうこまかいひとつひとつが配慮されていなかったりする、

それが、コンピューターの楽譜作成ソフトなのですね。

手書きには及ばないと言われる所以です。

デフォルトの設定では見やすくなかったり、そもそも設定すらできなかったり…

 

さて、みなさんはどんな楽譜が見やすいと思われますか。