時間差 | フクロウのひとりごと

フクロウのひとりごと

愛知県在住のトロンボーン吹き、作編曲家、吹奏楽指導者。
おもに吹奏楽の活動に役立つ情報を発信中!
バンド指導をご希望の方はお気軽にご連絡ください。

アンサンブルや合わせをするときに、音の遅れ、時間差って問題になりますよね。さて、これ、どうして起こるのでしょうか。どのくらいの遅れがあるのでしょうか。そして合わせるためにはどうしたらいいのでしょうか。

こんばんは。
トロンボーン吹きで作編曲家、吹奏楽指導者の福見吉朗です。

 


 

 

  音速

 

みなさんは、音の速度は有限であることはご存じですよね。
さて、ではその速度、どのくらいなのかはご存じですか。
秒速約340m。
これ、気温などによっても変わります。
そして、管楽器のチューニングが気温に左右されるのは音速が変化するせいです。

 


秒速340m、ではそれって、どれくらいの遅れになるのでしょうか。
 

 

  ステージで

 

ホールのステージ、たとえばその『間口』ってどれくらいあるでしょうか。
計算しやすいように、たとえば17mとしましょう。
音は1秒間に340m進むのですから、17m進むのに1/20秒。
1/20秒、0.05秒、これは、テンポ150の32分音符の長さです(計算合ってますよね?)。
ステージの端から端までで、これくらいは遅れるわけです。
これが客席の後ろの方だと、もっと遅れます。
バンダなど客席後方で演奏しなければならない時って、けっこう遅れますよね。だから…
聞いて合わせたのでは合いません。
動きを見て合わせる。
遠くと合わせるときには特に。
 

 

  デジタル

 

遅れ、時間差があるのは音の伝わりのせいばかりではなく、こんなこともあります。たとえば…
2つ以上のテレビが同じ放送を受信しているとき、音が微妙にずれてエコーみたいになってる、
そんなことを経験されたことはありませんか。
これ、なぜなのでしょうか。どうしてこんなことになるの?
それは、デジタルだから。デジタルで送られてくるから。
アナログの音の信号をデジタルに変換する、逆にデジタルからアナログに戻す、
そのときに、どうしても遅れが出来る。しかもそれが機器によって微妙に違う。
らじるらじる(NHKラジオのネット放送)って、時報がないのをご存じですか。
デジタルによる遅れがあるからですよね。
 

 

  生放送

 

ちなみにちょっと余談ですが…
テレビやラジオの生放送ってあるでしょ。
全部がそうではないのでしょうが、あれってわざわざ1秒遅らせて送出していると聞きました。
なにか事故があっても、1秒あればなんとかなる、というわけですね。
尤も、遅らせられないものもあるのでしょうけど…
 

 

  リモートアンサンブル

 

ここ2~3年、リモートアンサンブルがよく行われましたよね。でも…
リモートアンサンブルと言っているけれど、あれって『アンサンブル』ではありませんよね。
むしろ『リモート多重録音』です。
誰かが演奏した録音を聴きながら演奏を録音して、それをあとで重ねているだけなのですから。
では、ほんとうの意味でのリモート『アンサンブル』って可能なのでしょうか。
デジタルの音や映像の遅れがある限り、不可能か困難ですよね。
オンラインで指揮のレッスンをしている時も、遅れ、気になりました。
ところが…
 

 

  シンクルーム

 

このデジタルの遅れを極限まで抑えて、アンサンブルを可能にするアプリがあるらしいですね。
YAMAHAさんが開発された『SYNCROOM』(シンクルーム)というアプリ。

 


まだ使ってみてはいませんが、どうなのでしょうか。使えるのでしょうか。
遅れを抑えたといっても、まだ完璧ではないという話も聞きましたが…
それに、たとえ遅れが解消されたからといって、
これがリアルのリハーサルやアンサンブルの代用になるわけでもないと思うのですよね…

さて、音の遅れ、実感されたことはありますか。