なにかうまく行かないことやミス、失敗や事故、そういうマイナスな出来事が起こった時、あなたのところの組織、グループはどんな対応をしがちですか。原因追求でしょうか。犯人捜しでしょうか。それとももっと別の…
こんばんは。
トロンボーン吹きで作編曲家、吹奏楽指導者の福見吉朗です。
航空機事故
いきなり航空機事故のお話ですが…
以前、世界のいろいろな航空機事故の事例を収載解説しているウェブページがあって、
時々見ていました。
また、欧米のものですが、航空機事故を取り上げていく番組がありましたね。
いろいろなことが原因で、いろいろな事故が起こります。たとえば…
フラップ(離着陸時などの低速時でも飛べるように揚力を増す装置)を展開せず離陸して、
失速墜落してしまった事故がありました。
もちろん、フラップを出し忘れたから失速したのでしょうが、この事故、
『パイロットの不注意によって起こった』として片付けてしまったら、どうなるでしょうか。
それではいつか必ず、また同じ事故が起こって多くの人が犠牲になる…
チーズの穴
これはあるところで教わったのですが…
- 事故は、ひとつの原因だけでは起こり得ない。いくつもの要因が重なって起こる(チーズの穴)。
- 人間は、必ず間違える。機械は、必ず壊れる。だからそれが事故につながらないシステムにする。
この2つが、航空宇宙業界の考え方の根底なのだそうです。
たとえば(もうはっきり覚えてはいませんが)最初に書いた事例なら…
- 離陸前にいろいろなタスクが重なった
- パイロットは疲労していたのではないか(スケジュールは…)
- フラップを出さずに離陸を始めたことを警告するシステムがなかった
- チェックリストがなかった
- 2人のパイロット、相手がやってくれていると思い込んでいた(手順は…)
ほら、たとえばこんなふうに、決してひとつの原因だけでは起こり得なかった。
なら、それをパイロットの不注意だとして彼らを責めることで終わらせてしまったら…
悪い人間を
なにか望まない結果が起こった時に、悪い人間を捜し出して責めたり罰したりする、
または、切り捨てる…
それでは決して、チームやグループ、システムや世の中が良くなることはありません。
犯人捜しばかりをする組織や『人を責める組織』は、決して成長できないのです。
そういう風土はさらに、人を萎縮させ、モチベーションを削ぎ、時にはズルをさせます。
悪いことだらけです。
音楽では
音楽の世界ではどうでしょうか。たとえばコンクール。
「金賞獲れなかったのは、誰々のせいだ」、「○○パートのせいだ」…
これ、時々聞く話ではあるのですが、まず的外れです。
(指導者のせい、というのはあるかもしれませんが…)
当たり前のことを書きます。
合奏やアンサンブルの出来は、そこに集う個人の技量の総和、ではないということ。
個人の技術が大切ではないと言っているわけではありません。が、
個人の技術だけで合奏のレベルが決まるわけでは全然ない、ということ。
もちろん、コンクールでも。
そういう現場をいくつも見てきました。
ではどうしたら、合奏のレベルは上がるのでしょうか。
建設的な
人を責めるグループや組織は、決して成長しません。
どんな要因があるのか、どうしたらいいのか、どんなやり方を行ったらいいのか、
環境は、手順は、システムは…
いろいろな原因を見て、建設的に解決していこうとするグループ、そういう思想…
それが、グループや世の中を変えていくのだと思うのです。
人間の注意力や意識、個人の能力にばかり頼ったり、
ダメ出しや根性論、恐怖で突き動かしたりするのではなく、
建設的な発見や考え方、解決方法ややり方、そういうものを見つけて実行出来ること。
いいグループや組織、合奏やアンサンブル、政治や世の中って、そういうものだと思うのです。
さて、あなたのところのグループは、人を責めますか。それとも…