知っている曲をやれって… | フクロウのひとりごと

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愛知県在住のトロンボーン吹き、作編曲家、吹奏楽指導者。
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コンサートをやったりすると、「知ってる曲をやってください」という声があることがありますよね。また、公演によってはそういう曲を入れたりもしますよね。でも、知ってる曲しか聴かないって、どうなのでしょうか。

こんばんは。
トロンボーン吹きで作編曲家、吹奏楽指導者の福見吉朗です。

 


 

 

  知っている曲を

 

コンサートのアンケートで、コンサートの主催者から、来てくれたお客さんから、

こんな声、ありませんか。
『よく知っている曲をやってください』

さて、これ、どう思われますか。
よく知っている曲ばかりのコンサートって、やっぱりいいのでしょうか。
そういえば以前…
ライブハウスでビッグバンドをやった時、全曲ベイシーのセットをやったことがありました。
これは狙いとしてはバンドの研鑽のためであったと記憶するのですが…
もしかしたらお客さんはワクワクされたかもしれませんね。
次はなんだろう…、って…
 

 

  聴きたいもの

 

みなさんはどうですか。
知っている曲が始まると、やっぱりいいですか。
ぼくは、以前は知ってる曲が始まるとうれしい気持ちが強かったですね。
なら、知らない曲には興味がないのか、知らない曲だとガッカリするのか…
今は、そんなことはないのです。
その音楽が、いい音楽かそうでないか、というより、その音楽を好きか嫌いかが、ただあるだけ。
それも、二極になるのではなくて、
こんなところがおもしろい
ここの響きはかっこいい
このメロディは素敵だな
そんなふうに、好奇心を持って聴いているという感じなのです。
もちろん、『なんだこれは!?』と思うものもあるかもしれませんが…
 

 

  新規開拓

 

オーケストラを聴きに行くとします。
プログラムにもし、知っている曲が1つもなかったら…
それどころか、なじみのある作曲家の曲でもなかったら…
あなたは聴きに行きますか。
ぼくは、なにが始まるんだろうとワクワクして行ったことがあります。
そういう時って、あらかじめ勉強、というか、その曲を聴いておいてから行くのもいいでしょうが、
あえてそれはせずに、なんの先入観もなく聴きに行くのも面白いと思うのです。
新鮮ですよ。好奇心全開ですね。
でも、新規開拓には勇気がいります。
エネルギーもいります。
つまらなかったらどうしよう…
楽しめなかったらどうしよう…
 

 

  日本人って

 

もしかしたら思うのですが…
『知っている曲をやれ』って言うのって、日本人だけなのではないでしょうか。
そんなことないですか。欧米の人たちも言いますか。
もし、日本人特有だとするなら、それはなぜなのでしょうか。
そもそも、『知っている曲をやれ』の裏には、どんな気持ちがあるのでしょうか。
どうして、知っている曲、つまり、先が見えるわかりきった音楽の方が楽しめるのでしょうか。
もしかしたらそこには、『安心』があるのかもしれないですね。
ある意味、感性を使って聴かなくても済むからラクなのかも。

保守的、なのかもしれませんね。悪い意味で…
いいか悪いか、つまり、日本人的見方での『演奏の良し悪し』も分かりやすい…(皮肉です)
 

 

  感性で聴く

 

知らない音楽、初めて出会う音楽を聴くのには、そして楽しむのには、

感性を使わないといけない。
もちろん知っている曲を聴くのにも感性を使うでしょうが、その比ではない。総動員。
いいか悪いか、好きか嫌いか、判断できないという人もいるかもしれません。
なぜ?
直感でいいのでは?
いちど聴いた印象で、いいではないですか。
そしてそうやって初めて出会う音楽を感性を総動員して聴いて好きになったら、
とても世界が広がると思うのです。
そういうふうに聴けるようになったのは、ぼくは大人になってからですね。
そういう音楽の聴き方が、日本人はヘタクソなのではないかな、と思うのです。
エネルギーを使う、感性を使う、感じる、そんなことが、もっと出来たらいいのに…
でも、小さい子どもってむしろ、そんなふうに聴いて、感じているのではないですかね音楽を。
では、それがなぜ、出来なくなるのでしょうか。なにが邪魔をしているのでしょうか…

さて、あなたは知っている曲ばかりのコンサートの方がいいですか。
 

 

ピアニストで作曲家の榎本智史氏も、こんなふうにつぶやいておられます。