サブタンクという概念 | フクロウのひとりごと

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愛知県在住のトロンボーン吹き、作編曲家、吹奏楽指導者。
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金管楽器は、もちろん空気の流れがくちびるに作用して音の元がつくられるのですが、そのことに関連して、とても腑に落ちることを言われる方が一部におられます。そのことについて、きょうは書いてみたいと思います。

 

こんばんは。

トロンボーン吹きで作編曲家、吹奏楽指導者の福見吉朗です。

 

 

 

  空気の流れと…

 

金管楽器、いや、もしかしたら管楽器はみんなそうだと思うのですが、

空気の流れが、発音体(くちびる)に作用して音の元になる。

(木管楽器ならリードですよね。フルートやオカリナはどうなるのでしょう…)

そしてそれが楽器本体に『共鳴』することで、楽器の音ができる。

このことについては異論ないと思います。

つまり、金管楽器の場合、息(空気)とくちびるの微妙なバランスによって演奏が実現している。

 

 

  流れか圧力か

 

「息の流れが大切だ」、「いや、圧力の方が大切だ」…

こんな論争に、時々出会います。

さて、みなさんはどう思われますか。

これ、一言で解決できるように思うのですよ。つまり…

流れと圧力は表裏一体である。

空気が流れるのはなぜかというと、圧力差があるからですよね。

圧力をなんのために使うのかというと、流れを生むためですよね。

つまり、同じことだと思うのです。

 

管楽器は、いろいろな音の高さや大きさやさまざまな表現を実現するために、

空気の圧力(流れ)の繊細で微妙なコントロールが不可欠なのですね。

 

 

  サブタンク

 

さて、ここからが、本日の本題ですよ。

こんなふうなことを言われる方が、一部におられます。

『空気は肺から直接ではなく、口の中のタンクから、くちびるに送り出されるんだ。』

口の中の(小さな)タンク、これがつまり、サブタンク。

それに対して、メインタンクは肺ですね。

サブタンクは、舌と硬口蓋(口の中の天井)、それにくちびるで仕切られた空間です。

口笛なんかも、こうやって吹いているのではないでしょうか。

管楽器でもおんなじなのではないかと思うのです。

でもこの話、あまり多くの方からは聞きません。

だから、みんながこうやって吹いているのかどうかはわかりません。が、

もしかしたら、じつは多くの方が、このやり方で吹かれているのではないでしょうか。

 

 

  サブタンクの利点

 

管楽器の演奏には、空気の圧力(流れ)の繊細で微妙なコントロールが不可欠だと書きました。

この『繊細で微妙なコントロール』を、肺やおなかで直接やるのって不可能だと思うのです。

ところが、サブタンクを用いれば、それは超高性能空気圧センサーになりますし、

なんなら、空気圧(息圧)を超微妙にコントロールする装置にもなる。

わかります?

舌の使い方について、シラブルということを言われる方もおられます。

この考え方って、じつはサブタンクのことなのではないかと思うのですよ。ですよね。

くちびるのまわり(頬ではなく)に息を貯める練習を書かれている方もおられました。

口の中にたまった空気を舌とくちびるの力で押し出す感じ、と。

 

 

  分析

 

この『サブタンク』、ぼくにはとても腑に落ちるのです。そうだよなぁ、って。

金管楽器、管楽器吹きのうち、どのくらいの人が、このやり方で吹いているのか、

それは、正直わかりません。

じつはすごく多い、いや、ほとんどみんなそうなのかもしれません。

無意識にやっていることを認識できていない人も多いかもしれませんね。

たとえば、「息さえちゃんと流れれば、それ以外は関係ないよ」みたいに言う人もいます。

でも、自分のやっていること、それに、生徒のやっていることを、ちゃんと分析出来る人、

そういう人がきっと、名教師なのだと思うのです。

 

さて、あなたはどんなふうに楽器を演奏していますか。