楽譜の書き方のお話 | フクロウのひとりごと

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愛知県在住のトロンボーン吹き、作編曲家、吹奏楽指導者。
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なんだかなにげに読みにくい楽譜、音やリズムがイメージできない楽譜ってありますよね。

きょうは最近出会ったそんな楽譜を紹介していきます。さて、なぜ読みにくいのでしょうか。

 

こんばんは。

トロンボーン吹きで作編曲家、吹奏楽指導者の福見吉朗です。

 

 

  どんな音列?

 

最近出会った、なにげに読みにくい楽譜、その1…

調性は、ト長調(♯1つ)、低音部譜表です。

 

 

なにこの音列? と思いましたよ。

これじゃあソルフェージュ出来ません。いや、出来ないことはないのでしょうが、混乱します。

これって、つまりこういうことでしょ↓

 

 

これなら読めますよ。瞬間的に、音も意味もわかります。

最初の楽譜じゃ、「えっ、一体どういうこと!?」ってなりますよ。

どっちでも同じだっていう人はきっと、音楽を感じていない人です。

 

 

  異名同音

 

異名同音は同じ音(ほんとうは同じとは限らない)だからいいでしょ、ではないのです。

どっちで書くかによって、読みやすさは雲泥の差。

書き方によっては意味がわからなくなってしまいます。

前後の流れによりますが、たとえば長い音で、臨時記号でシャープがついていたら、無意識に、

『もしかしたら(長和音の)第3音かな…』と予測するものだと思うのです。

おなじくフラットがついていたら、無意識に、

『もしかしたら(セブンスの)第7音かな』と予測するものだと思うのです。

初めて音を出す曲でも、音が出る前にハーモニーの予測がつく(当たるとは限りませんが…)。

臨時記号を正しく書くことで、いろんな意味で、音楽が見えるのです。

 

 

  どんなリズム?

 

最近出会った、なにげに読みにくい楽譜、その2…

 

 

ちなみに、普通に8ビートです。

一瞬考えないとわからないでしょ、どんなリズムなのか…

(実際間違って吹いている人、多数いましたよ(´・_・`))

これってつまり、こういうことでしょ↓

 

 

これなら瞬間的にわかります。

普通は最初のようには書かないでしょ。

 

 

  アーティキュレーション

 

そして、こんなアクセントやテヌートは、書いてなくたって、常識的にそう演奏しますよ。

(全音符のアクセントは別として…)

書いてなくたってそう演奏する当たり前のこと、つまり、音楽のスタイルに関することを、

わざわざ書かれたりなどすると、逆に考え込んでしまいます。

『これは、ことさら強くアクセントが欲しいのだろうか…、一体どうしたらいいのだろう…』と…

だから、作編曲家さんに対しては、ことさら特別な意図がある場合を除いて、

書かなくたってそう演奏するのが当たり前の記号は書かないでおくことをおススメします。

ぜひ!

人間はコンピューターではありませんからね。いい意味で。

そのためには、なにが当たり前なのかをわかっていなければなりませんよね。

 

 

  リズムの話

 

さて、一瞬考えてしまうリズムの書き方、でも、以前、こういう楽譜がありました。

 

 

(あえてなんの曲なのかは書きませんが、わかる人にはわかる?)

さて、これも一瞬考えてしまいますが、つまりはこういうこと。

 

 

そう考えると、『なーんだそういうことか』ってなるのですが、でも…

このリズムを、上のように4連符で書くか、それとも下のように書くか…

それによって、同じリズムでもニュアンスが変わる気がするのです。

この曲、じつは演奏したことがあるのですが、作曲家さんは、あえて4連符で書くことによって、

16分音符刻みのビート(3拍子だから12ビート?)にきっちりはめた感を避けたかったのでは?

あるいは、裏拍感が出るのを避けたかったのでは?

と思ったのです。

 

じつはこの話には後日談があるのですが…

のちにその作曲家さんとお話する機会があって、このことを訊いてみたのです。

「意図があったんですよね?」って。そしたら…

「べつになにもないよ。どっちでもおんなじだよ」って(^^;

意外と深くは考えていないモノなんだな、勘ぐりすぎるのも的外れなんだな、

と思ったものでした。

いや、でも、無意識にあの書き方を選んだということは、やっぱり…?

 

さて、こんな話、書けばまだまだ出てきそうですが…

楽譜の書き方ひとつで、読みやすくも読みにくくもなる。また、なにかの意図を伝えられたりもする。

みなさんはそんなことを感じたことはありませんか。