四角い音?三角な音? | フクロウのひとりごと

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吹奏楽指導で、「もっと四角い音で」とか、「ここは三角形な音で」とか指示されたことはありますか。

それはひとつの伝える手段であるとは思うのです。でもそれだけでは…

 

こんばんは。

トロンボーン吹きで作編曲家、吹奏楽指導者の福見吉朗です。

 

 

音の形

音の形は、音楽の大切な要素のひとつですよね。

アーティキュレーション、音の形を指示されるときに、

『四角い音』とか『三角な音』、あるいは『丸い音』

などと言われたことがある人も少なくないかもしれません。

ぼくもそんなふうに言ったことが、過去にはあります。

また、よく『アタック』、『コア』、『リリース』なんていう言い方もされますよね。

便利な伝え方だと思っていたこともあるのですが、でも…

これらの言い方だけで、ほんとうに音の形が言い表せてちゃんと伝えられると思われますか。

 

三角な音って…

たとえば『三角な音』を考えてみます。

どんな音を想像するでしょうか。

アタックの瞬間がいちばん強くて、すぐに減衰を始める音?

たしかに、それは三角形に見えますよね。

では、「ここは三角形の音で」と伝えれば、合うのでしょうか?

たとえその場所にふさわしい音が、たまたま『三角形』だったとしましょう。

でも、「三角形の音で」と伝えられてそう奏でた人の音が、

そのふさわしい音になるとは全然限らないように思うのです。

だって、人の受け止め方はさまざまなのですから。

むしろ、作為的で不自然な演奏になっていく恐れの方が多いように思うのです。

 

音の形は無限にある

まず、音の形って無限にあると思うのです。

たとえ、見た目が同じ形、たとえば三角形だったとしても、

そこにはいろいろな張りや緊張感、いろいろな色合いや空気感の音があるはずです。

また、音が持っているエネルギーもいろいろです。

音の強弱変化などは、音の形や性格を表す、ほんの一側面に過ぎないのです。

そんな音のあらゆる要素を、言葉の説明で伝え切ることなど不可能なように思うのです。

音の形って、たった数種類ではなく、無数にあるのです。

では、どうすればいいのでしょうか。

 

歌って伝える

アーティキュレーションや、音の形、それは、言葉で説明することも有益かもしれません。

でも、おそらくいちばんいい伝え方は、歌って聞かせたり、音で伝えることだと思います。

言葉で伝えるのは、あくまでも、その補助的な手段だと思います。

そして受け取る方も、音を形や理屈で考えるのではなく、

イメージで、音で捉える。

そうして初めて、自然で説得力のある音楽になっていくと思うのです。

そしてさらに…

 

想像力を働かせよう

合奏していて、なんだか音の形が合わないなぁ、とか、楽器によって形が違うなぁ、と感じたら、

ぼくはこんなふうに伝えてみることがあります。

「いろいろな音の形があるけれど、このメロディに合うのはどんな形だろう?」

(いくつか歌って例を示したりなどして…)

「いろいろあるけれど、自分がいちばんいいと思う形で吹いてみて。合わなくっていいから」

そんなふうに伝えて、もういちど合わせてみると…

合ってしまうことが少なくありません。

意識が向いた、想像力が働いた、自分の中にあった…

そういうことだと思います。

そして、『音楽』から始める。音楽を起点に考える。

もちろん、答えがひとつとは限らないのが音楽です。

 

ひとつだけ…

練習の段階で、練習としてやってみるべき形は、テヌート、またはレガート。

息が(音1つ1つではなく)1本につながった形、これを練習してみることは有益だと思います。

たとえそれがマルカートやスタッカートのフレーズであったとしても。

 

さて、想像力、働かせていますか。音楽から考えていますか。

 

 

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