分析できるといいこともあるけれど… | フクロウのひとりごと

フクロウのひとりごと

愛知県在住のトロンボーン吹き、作編曲家、吹奏楽指導者。
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たとえば管楽器の奏法、身体の仕組みや構造や動き、そういうものが視覚的に見られたら…。

そんなふうに思うことってありますよね。実際、それがとても役に立つこともあります。でも…

 

こんばんは。

トロンボーン吹きで作編曲家、吹奏楽指導者の福見吉朗です。

 

 

そこからどうするのか

管楽器の雑誌パイパーズ477号、サクソフォン奏者、李源冀氏のインタビュー記事、

『管楽器のアンブシュア 息のポイントはスピードではなく圧力!(後編)』

の中に、こんなくだりがあります。引用します。

MRIを使って何が起こっているかを目で見ることが出来たとして、そこからどうするかというのがネックになります。現象を結果につなげられないといけない。それを使って教えられるようにならないといけない。でないと自己満足に終わってしまうか、奏法マニアのような一部の人の目に留まって終わってしまうような気がします。

これは、管楽器演奏時の口腔内のMRI撮影について李氏が語られたことです。

みなさんはどう思われますか。

ぼくは、まったくその通りだな、と思うのです。

 

わかっているけど出来ないこと

管楽器には、いや、どんな楽器でも、『わかっているけど出来ないこと』ってありますよね。

たとえば呼吸やアンブシュア、のどにまつわる筋肉の働きがひとつ残らず解説出来たとします。

どの筋肉をどういうタイミングでどれくらい働かせるのか…

でも、いくら詳細にわかったところで、それが実際に出来なければ何の意味もありませんよね。

そして、わかっているんだけれど出来ないことは、たくさんあります。

科学的に、解剖学的に、どんなに解明されたところで、

実際の奏法と結びつかなかったら、何の意味もないのです。

 

ひとりひとり違う

さらに、どんなに詳しく詳細に分析出来たり視覚化出来たとしても、

それが万人に共通するとは全然限らないのです。

それとは違うやり方でうまくいく、いい演奏をされる方も、少なくないかもしれない。

もっと言えば、奏法ってきっと、ひとりひとり少しずつ違うものだと思うのです。

誰かの分析の通りにやっても、うまく行かないかもしれない。

その可能性は、決して少なくはないと思うのです。

 

役に立つことも

でも、身体の構造や動きを視覚的に見せてあげることで、大きな効果があることもあります。

管楽器の生徒さん、どうも呼吸が浅く、十分に空気を動かせていません。

動きを観察していると、肺の前側しか使っていないように見えるのです。いや、

空気は胸郭の前側にしか入らないモノだと無意識に思い込んでいるように見えるのです。

そこで、胸部を輪切りにした図、あるいはCT写真を見せて、

「この部分が肺なんだよ。空気って、こんなところにまで入るんだよね」

って説明してあげるだけで、呼吸が大きく改善した…

こんなことを、何度も経験しています。つながったんですね。

 

単なる理屈ではなく

どんな理屈であれ、それが自分の中で納得できるかどうか、腑に落ちるかどうか、

そして、それが実際の演奏とつながるかどうかって、とても大切です。

でなければ、理屈は何の役にも立たないどころか、かえって害にもなりかねない。

そんなふうに思うのです。

逆に、理屈では説明出来なくても、素晴らしい音や演奏に触れただけで、

自分の中で変化していくこともある。少なくない。

楽器や音楽は、あたまの中でだけでするものではないんですね。

 

さて、みなさんはどう思われますか。

 

 

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