テナーとバスの違いって… | フクロウのひとりごと

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愛知県在住のトロンボーン吹き、作編曲家、吹奏楽指導者。
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トロンボーンって、いろいろ種類がありますよね。

 質問箱から、こんな質問をいただいたのです。

 

こんばんは。

トロンボーン吹きで作編曲家、吹奏楽指導者の福見吉朗です。 

 

 

 

 

トロンボーンの種類

 

まず、トロンボーンにはどんな種類があるのでしょう。

現代で一般的なのは、テナーテナーバスバス

吹奏楽では使われませんが、オーケストラなどではアルトも使われます。

今は滅多に使われませんが、ソプラノもあります。

さらに特殊な、ソプラニーノピッコロコントラバス

それから、バルブトロンボーンチンバッソ

わかりやすく言えば…

古くはソプラノ、アルト、テナー、バスがあって、現代ではテナーとバスが一般的となった、

そんなふうに思って間違いないと思います。

では、それらの違いって…

 

 

なにが違うの?

 

まず、質問にあるような、テナーとバスの音の違いっていう疑問が、なぜ出てくるのか、それは…

フルートやクラリネットやサックスを見ても、種類が変われば管の長さが変わります。

楽器の調も変わりますよね。

ところがトロンボーンは、テナーもバスもおんなじ長さ。調もおなじB管なのです。

『なにが違うの?』っていう疑問が出てきて当然ですよね。

でも昔は、管の長さが違ったのです。

テナーは昔からB管だったのですが、バスはG管やF管だったのです。

現代ではそれらはコントラバストロンボーンって呼ばれています。

では、なぜ現代のバストロンボーンはB管になったのか…

G管やF管だと手が届かないからでしょうね。だから昔はスライドにハンドルがついていた。

でもこれ、扱いにくい…

 

 

音の違いは

 

では、現代のテナーとバス、音はどう違うのか…

声楽の『テノール』と『バス』だと思うとわかりやすいですね。

テナーはバスよりも明るくコンパクトでクリアな音

バスは太くてふくよかで暗い音

そして、なぜ、その違いが生まれるのか…

音域も、ほとんどオーバーラップしているのに(管の長さがおんなじだから当然ですが)…

それは、管の太さ、ベルのサイズ、マウスピースのサイズや深さの違いによるのです。

 

テナーバス(左)とバストロンボーン(右)のベル

 

 

テナーとテナーバス

 

現代では、きっといちばん多い、『テナーバス』といわれるトロンボーン。

これって何でしょう。テナーとバスの合いの子? テナーとバスの中間?

いえいえ、テナーバスは、テナーなのです。

テナーに、低い音を出しやすくする機構(Fバルブ)を加えたのが、テナーバス。

だからテナーバスも、テナーであることに変わりはないのです。

テナーバスってテナーなのです。

そして、ロータリーが1つついているのはテナーバス、とは限りません。

ロータリー1つのバストロンボーンもあるからです。

では、なにが違うのか…、それは、ベルのサイズと管の太さ。

 

 

どうして種類がいろいろあるの?

 

現代でも、テナーとバスの2種類を使いますよね。

ドイツを中心に、オーケストラでは曲によっては(おもに古典派)アルトも使います(オケによっては)。

アルト、テナー、バスで、1つのセクションなのです。その意味は…

上に行くほど明るくコンパクトに、下に行くほど暗く太く。

そうなっていると、セクションの音が安定するのですね。

また、アルトトロンボーンはトランペットセクションとの橋渡しの役割もあります。

トランペットの1番からバストロンボーンまで、1つの流れでつながるように。

下に行くほど、音がだんだん太くなるように。

そんな意味があるのです。

ということは…

 

 

セクションの音が

 

たとえば3人のトロンボーンセクションがあったとして、

3rdの人はバスを吹くとしても、1stと2ndの人はテナーかテナーバスですよね。

そんなふうにおんなじ楽器であったとしても、2ndの人は1stの人より太くてふくよかな音がいい。

そうなっているとセクションの音が安定するし、ハーモニーもつくりやすいのです。

音のピラミッド。じつはこれは、とっても大切なことなのです。

これがそうなっていないと、セクションの音は安定しません。

下のパートの人は上のパートの人より太くてふくよかでキャパシティーのある音。

難しいのですよ。

 

さて、あなたのバンドのトロンボーンパート、ちゃんとピラミッドになっていますか。

 

 

ということで、珍しいチンバッソでのジャズアドリブ。

チャーリー・パーカーの『ドナ・リー』