意識しなくても自然にできていることは,意識に上げなくていい | フクロウのひとりごと

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愛知県在住のトロンボーン吹き、作編曲家、吹奏楽指導者。
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楽器や音楽を教える時,いちばん愚かな教え方は,
すべて言葉で説明することだと思います。
それではお勉強ですよね。音楽はお勉強とは違います。

中学校の時の音楽の先生が,いちばん最初の授業で,
音楽』は,『音学』ではないし,ましてや『音が苦』ではないんだよ,
という話をされました。
今になって身に沁みますね。いっぱい『苦』にしてきましたからね…
そういう『苦』,余計なものを捨てる作業だったりします。今はね。


さて,
意識しなくても自然にできていることは,意識に上げなくていい。


ぼくは,たとえば初心者を教える時,基本,何も説明しません。
まず,「じゃ,深呼吸してみようか」って言って,一緒にやります。
それから,スライド抜いてインナースライド上管だけで音を出します。
「深呼吸とおんなじね」って言って,一緒にやります。
そしたら,スライド付けて普通に吹きます。「深呼吸とおんなじね」

もちろん,どんなふうに深呼吸するのか,観察します。
とっても自然に身体を使う子もいれば,いろいろです。
自然な深呼吸をしていたのに,楽器を持つと
とたんに違う身体の使い方をする子もいます。

できていることは,あえて説明したり意識に上げたりしません。
「くちびるが振動して音になる」すら言いません。
それすら,時には邪魔になりますから。


話は変わりますが…
コップにいっぱいの水を入れて,そーっとこぼさないように運びます。
そして,うまくできた人に,
コップいっぱいの水をこぼさず運ぶ方法,筋肉のバランス,センサー,
視覚,平衡感覚,足の動き…,全部説明して,もう一度やってもらうと,
コップの水をこぼしてしまうんだそうです。
なぜだかわかりますか?

ゴルフのラウンドで(ぼくはゴルフしませんが…)
きょうはパートナーがとっても調子がいい,負けそう,って時は,
「きょうのアイアンは最高だね。フォロースルーが流れるようだよ」
なんて言ってあげれば,そのあとのフォロースルーは
ぎこちなくなったりするんだそうです。
なぜだかわかりますか?


なので,全部言葉で説明するのは,いちばん愚かな教え方です。
理屈も専門用語もいりません。
うまくいかない時,よくなるポイントが見つかった時には,
それを伝えます。
それもできれば,言葉じゃない方法で伝えます。


あと,間違った捉え方をされる可能性のある言葉は使いません。
たとえば,「おなかに息を入れる」とかね。
それの意図するところは,
『おなかの筋肉をお休みさせて横隔膜が自由に下がれるようにする』
ことですよね。おなかに空気は絶対に入りません。なおかつ,
『肺や胸郭,横隔膜を知って,おなかをお休みさせて自由に動ける』
って思ってやるのと,『おなかに息を入れる』って思ってやるのとでは,
身体の自由度は雲泥の差です。
なので『お腹に息を入れる』は間違いなんです。
『腹式呼吸』なんて言葉もいりません。

余計なことは伝えない,呪縛を与えない。
自然にできるように導く。その子のなかから引き出す。
ぼくみたいに苦労する子が少しでも減りますように…
と思っています。