冬立つや悲鳴にも似て犬のこゑ
「方円」2012年1月号雑詠掲載。
11月7日は二十四節気の一つ、立冬。暦の上ではここから冬とされる。俳句の世界でも、この日を境に冬の季題が多くなる(明確に決まっているわけではない)。そんな季節の変わり目というべき日。ここから徐々に寒さが増していく。近所を歩いていたら、どこかの飼い犬の叫び声。人の感じにくい気候、寒さを感じて、悲鳴のような鳴き声を上げる。そんな風に聞こえて詠んだ句。
この句を詠んだのは10年以上前。「方円」同人に選ばれる1年ほど前に詠んだ句。「立冬」という季語に「犬の悲鳴」というシチュエーションを持って来ており、全体的に悲しげな雰囲気。当時はそんな風に考えることなく、ただ単に犬が鳴いたのが立冬だったから詠んだのだろう。現在お世話になっている結社「雲の峰」主宰は、あまりネガティブな言葉を使うと、季語までネガティブに捉えられるので、あまりそういうことはしない方がいいと言われている。確かにその通りで、冬は寒いからネガティブという否定的な考えはあまり宜しくない。冬には冬の景色があり、色がある。何事も前向きに捉えなければならないという事だろう。この句を見直して、改めてそう感じた。
(絵はAIによる創作です)
↓コチラも併せてご覧ください♪↓
俳句を始めませんか?

