国境まで暫くは尾花道
「方円」2007年1月号雑詠掲載。
「尾花」とはススキの事。花が開くと白い獣の尾のように見える事から、この名が付けられた。この句を詠んだのは20年近く前の話。詠んだ場所は忘れてしまったが、恐らく京都・大阪・滋賀辺りの県境近くか。道の両端にススキが際限なく並んだ道が、真っ直ぐに伸びている。その先は県境。それを越えてこの風景が続いている。人間が便宜上引いた線が、自然の中ではいかに無意味なものか、思い知らされて詠んだ句。
よく車で通る道がある。水路を挟んで西側は一面竹藪だったが、最近になって開発が進められ、竹藪は奇麗に刈られていた。こうしてどんどん人の住みやすい世界が作られていく。それ自身否定することは出来ない。人間も他の生物と同じく、生きねばならないから。しかし、人間との生存競争に敗れた生物もいるという事は、頭の片隅に置いておきたい。ではどうすればと言われれば、恥ずかしながら誰もが納得する解決策は思い浮かばない。せめて過剰に人の世界を作るのではなく、本当にここに家が必要なのか、熟慮の上で動く姿勢が大事だろう。言うまでもなく、それぐらいの事はしていると思うが。
(絵はAIによる創作です)
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