竜胆を根元に咲かせ穴太積
「方円」2009年10月号雑詠掲載。
「穴太積」とは石垣の積み方で、いわゆる「野面積」の一種。近江坂本で活躍した石工集団「穴太衆」が用いたもので、堅牢で排水性にも富んだ積み方と言われている。例によって場所は忘れてしまったが、普段なら「野面積」と書くところをわざわざ「穴太積」と書いたという事は、滋賀へ吟行に行った際に詠んだものか。自然石をそのまま見事に積んだ石垣が壁のように聳える足元に、竜胆の花が可憐に咲いている。人工美と自然美が一体になった風景を愛でて詠んだ句。
石垣は外敵から人を守るという役割を果たす。その周辺に咲く花は、後世に子孫を残すという役割を果たす。この世にあるものには、みんなそれぞれ役割がある。8月3日に行われた、京都府吹奏楽コンクールの録音を聞き、関西大会に向けての課題を考えていた。全体的には整理され、各人がそれぞれの役割を果たしている。講評に書かれていたのは、そのそれぞれの役割を果たす際に生じた綻び。これが大きくなればなるほど、全体の歪が大きくなる。これから8月24日本番に至るまでの2週間は、そのひずみを調整する時間に充てられる。65人でたった2曲を仕上げるものなので、全体の大きな流れに従って、各人が自らの役割をいかに忠実に果たすか。これは社会の構造にも似ている。大きなプロジェクトを果たすという楽しみのため、私もやれることをやらねば。
(絵はAIによる創作です)
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