冬虹や都へ続く捨て畑
「方円」2023年2月号円象集掲載。
時雨気味のお天気。よく歩く散歩道を歩いていたら、遠くに虹がかかっていた。この散歩道は、母校の中学校から少し歩いたところで、一面田畑が広がる、実に景色のいい場所だ。京奈和自動車道の高架を挟んで、遠く京都タワーまで見渡せる。田畑は全て使われている訳ではなく、休耕田が目立っている。そんな光景がはるか遠くまで続く。そんな休耕田でも、虹の足元に当たる部分は、七色を帯びて輝いている。そんな光景に心打たれて詠んだ句。
子どもの頃、あの虹の橋を渡りたくて、虹の足元目指して一目散に進んでいったという記憶がある方もいらっしゃることだろう。大人になってから、虹発生のメカニズムがわかってしまうと、虹は「触る対象」から「眺める対象」に変化する。遠くにあるからこそ、美しく見える光景というものがあるのかもしれない。俳句の世界、殊に写生句に限って言えば、全体の景色を俯瞰して、情景を詠むのが醍醐味でもある。部分に執着せず、全体を見る。中にはそうも行かない事もあるかも知れないが、そんな感覚を大切にしたい。明日、「第九」の演奏会を鑑賞する。音楽においても、そういう事は当てはまるだろう。
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