紅葉散る思ひの色にならぬまま

 

「方円」2018年2月号円象集掲載。

「紅葉」はご承知の通り秋の季語だが、12月になっても鮮やかな紅葉があちこちに見られる。この時期の紅葉を「冬紅葉」と呼び、冬の季語として使われる。さらに冬も半ばになると、紅葉は散る一方。これを「紅葉散る」「散紅葉」と呼び、同じく冬の季語として使われる。この句を詠んだのは、自宅から車で少し走ったところにある、とある自然公園。そこで楓の葉が色付居居てはいたが、鮮やかな紅葉ではなく、茶色がかった枯れた色。もっと美しい色を誇ったまま落ちる葉は美しいが、単なる落葉になってしまった。当然葉っぱに意識はないが、もしかしたら「もっと綺麗な色でいたかった」と思いながら散っているのかもしれない。そんな嘆きに近い感情を読み取って詠んだ句。

かつて方円関西句会でお世話になった亡き句友は、最近の紅葉を見て「こんなん紅葉とちゃうわ」と嘆いていた。そして、「今紅を差せしばかりの葉を落とす」という句を詠んでいた。言われてみれば、子どもの頃に見た紅葉は、もっと鮮やかだったように思う。調べてみると、美しい紅葉になる条件は

①昼間と夜の温度差が大きいこと

②直射日光がよく当たること

③適度な湿気があること

の3点だそうだ。特に①は今は難しい条件かもしれない。昔と大きく変わった気候。それに加えて、季語はむかしから伝統的に旧暦ベースなので、季節を先取りする事になる。今後ますます紅葉を俳句にするのは難しいのかもしれない。

 

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