冬晴れや立木に当たる風の音
「方円」2009年2月号雑詠掲載。
冬の晴れ間は、寒い時期でも太陽が眩しく、温かく感じる事がある。しかし、ひとたび風が吹けば、やはり冬。冷たい空気が身に沁みる季節でもある。一方、木は葉を落とした裸木。いかにも寒々しく感じる。そこへ風が吹いて木に当たり、いわゆる「虎落笛」と呼ばれる甲高い音を出す。それが木々の悲鳴にも聞こえるが、木は決してその場を動こうとしない。じっと我慢しているように見えるが、心中は風によって放たれる叫び声のように、寒さに嘆いているのかもしれない。そんな風に感じて詠んだ句。
12月10日は世界人権デー。1948年、国連総会にて「世界人権宣言」が採択された日。その第1条には「すべての人間は、生れながらにして自由であり、かつ、尊厳と権利とについて平等である。」と明記されている。その一方で、どんな理不尽な言動、行動に対しても決して抗わず、じっと我慢をせねばならないという風潮はまだまだある。「尊厳と権利」とはいかなるものを指すのか、突き詰めるとなかなかこれという答えは出ないだろう。しかし、人間は冬の立木と違って、辛いなら辛いと思い、感じ、口に出す事が可能であり、その権利を持つ。「自分だけ我慢して黙っていれば」と思っている人は、身の回りに相当数いるのではないかと思っているが、だからと言って、「自分は役に立たない人間だ」と思って、殻に閉じこもってしまうような事になってはいけない。自戒を込めて。
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