秋桜十三塔を囲ふかに
「雲の峰」2023年11月号青葉集掲載。
奈良・般若寺を訪れた際の一コマ。このお寺は春は山吹、夏は紫陽花、秋はコスモス、冬は水仙と、四季折々の花が咲く。「コスモス寺」の別名の通り、特にコスモスが有名で、シーズンになると境内全体がコスモスで埋め尽くされる。そんな時期に訪れた般若寺。満開のコスモスが、十三重石塔を囲むように咲いている景色が実に絵になった。そんな様子を素直に詠んだ句。
最近、句作の勉強と練習のために、歳時記で有名人の忌日を調べて一句残すという事をしている。それをとある場所で公開したら、難解すぎるとの批判を頂いた。本人としては自然に詠んだつもりなのだが、見る人から見ると、確かにそう見えてもおかしくない。「わかる人にだけ分かればいい」という作り手の姿勢が、「俳句は敷居が高い」という誤解を招いているとすれば、それは大いに反省すべきことではある。見たもの、聞いたものをそのまま詠むのが理想だが、それだけでは、ともすれば説明になってしまう。そうすると、かえって言いたかったこと、伝えたかったことが伝わらないというジレンマがある。謙虚で素直な心を持ちながら、伝えたいことを的確に伝えられるような言葉を選ぶ。考えすぎると難しいが、それを心掛けて句作に励みたい。
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