七変化まだ何者に為る前の

 

「方円」2022年9月号円象集掲載。

「七変化」とは紫陽花の事。咲き始めは白で、徐々に色を変えていく事から、こう呼ばれている。梅雨真っ只中の6月から7月上旬にかけて、よく紫陽花の句を詠む。この句もそのひとつ。だいたい色づいてからの花を詠むが、この句は色付く前の白い花を詠んだもの。紫陽花は、生えている土壌で花の色が決まるとされており、土のPHを測れば色がわかるそうだが、そうした科学的見地とは関係なく、この花はどんな色になるのだろうという期待を前面に押し出して詠んだ句。

かなり昔の転職雑誌のCMを思い出した。オフィスに男性が二人。ひとりの男性がお茶を入れて飲んだあと「ちぇっ。出涸らしか」とつぶやくと、もうひとりの男性が「何言ってんだ!これからだよ俺たちは!」と、半ば自分に言い聞かせるように、熱く語るというもの。社会人1年目のフレッシュマンは、誰しもそんな決意を持って社会に出たに違いない。それが色々な事を経験するに従って、現実が見えてくる。そしてその現実に失望するという人も、中にはいるだろう。反対に、果敢に高いハードルに挑み続け、超えた先の充実感を味わい、さらに上へという、あくまで前向きな人もいるだろう。そんな両極端な人たちも、最初は白い紫陽花だった。若い頃を思い出して、それでどうなるという訳ではないかもしれないが、せめて前向きに過ごしたいものだ。

 

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